大罪ぱろ | ナノ



lust



色欲




「ベルゼブルちゃん待ってたよ!さぁお腹いっぱい食べてね!」
「いさっくんちのご飯って腹に溜まらないから好きくない」
「って言いつつ貪るベルゼブルちゃんって素敵だと思うよ!!」

地獄の賭博場、そのVIPルームで、ソファにどっかり座ったベルゼブルは出された果物を貪っていた。その開かれた膝の間には三反田が座らされており、ベルゼブルが果物を齧るたびに零れる果汁を頭から被っていた。可哀想である。
 しかしそれをまったく意に介さず、賭博場の主である善法寺はにこにことベルゼブルが果物を貪るさまを見ていた。その顔は心なしか赤い。

「……ところでベルゼブルちゃん、身体おかしいとかない?ちょっと暑いとかムラムラしたりとか…」
「は?ないけど」
「……なんだ、失敗か…」

 至極残念そうに呟く善法寺を見て、ベルゼブルは手にした果実をまじまじと見直した。

「……媚薬入りか、これ」
「んー、っていうか媚薬を水代わりに育てたやつなんだけどね。普通の悪魔なら穴が無くても入れたくなる強力な奴なんだけど、やっぱりベルゼブルちゃんには効かないか」

 今回は500年かけた自信作だったのに!と悔しがる善法寺に、三反田はげんなりする。500年前と言ったら自分の生まれたころだ。この人たち500年前からこんな下らないことしてたのか…と、三反田は転職を考えたくなった。
 ベルゼブルが訪れるたびに自作の媚薬を試す善法寺にはもう慣れたが、あり得ないほど強力な媚薬に毛ほどの効果をも許さないベルゼブルの化け物ぶりにはいまだ慣れることが出来ない。善法寺によれば他の諸先輩にも効かないらしいのだが、その事実に気が萎えるのを抑えられない。

「しょうがないな、じゃあこれ、もう要らないから残り食べちゃってよ。まだまだあるんだよねー」
「分かった任せとけ」

 それより自分はこのままベルゼブル先輩の食べこぼしを浴び続けなくてはならないのだろうか。三反田はげんなりした。明日ハローワークに行ってみようと決めた、503歳の夜だった。



   
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