大罪ぱろ | ナノ



pride



傲慢





「何故来た」
「ベルゼブルちゃん遊ぼう!」
「遊びたくない。お前と遊んでも腹は膨らまない。ハイリスクノーリターン。ローリターンですらない。遊びたくない」
「ベルゼブルちゃんバレーとサッカーどっちがいい!?」
「ごめん会話が成り立たない」

 ベルゼブルは七松の背後にいる平に助けを求めようと視線を送ったが、光の速さで目を逸らされた。
立花か。立花が私が暇だって吹聴したのか。ちくしょう覚えとけ立花、今度お前んちの船の底に穴開けるからな。
 ベルゼブルが地味な仕返しを誓っている間、対する七松の中では何かが完結したらしい。

「じゃあ追いかけっこしよう!ベルゼブルちゃんが鬼な!!ちゃんと捕まえに来てね!!」

 いけいけどんどーん、と砂煙をあげて走り去った七松を見送りながら、ベルゼブルは思っていた。どうして私あいつと友達やってんだろう、と。ベルゼブルは七松が苦手だった。常に空腹を感じているベルゼブルにとって運動など言語道断だというのに、七松は問答無用でスポーツに誘ってくる。しかも断っても聞かない。ベルゼブルをはじめとする諸悪魔は、七松と会話できる境地にはいまだ至っていない。

「……なんなんだあいつは」
「すみません…先日中在家先輩と追いかけっこをしたところ追いかけてもらえなかったのが寂しかったらしく」

 リベンジらしいのです、と居心地悪げに言う平を見てベルゼブルは溜息をつく。腹が減った。勿論七松を追いかけてやる気は毛頭ない。

「滝ちゃんなんか喰いもん持ってない?」
「ああ、ありますよ。マシュマロで良ければ…」
「滝ちゃんマジ天使だな」
「いえ悪魔ですが」
「そういう冷静なツッコミが来るとは思わなかった」

 差し出したマシュマロをもっちゃもっちゃと頬張るベルゼブルを見ながら、平は思う。

(食べ方きったねぇ…)



   
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -