* 4話

 由姫より上の位についてしまった。一緒のランクで居たい、その由姫の思いを裏切ったのかもしれない。
 由姫は合格したけど、AUランクに入っただけだった。
 そのまま生徒会室へ行くと、空真さまが腕を組んで私を待っていた。
「ひっ?!」
「Sランクは基本クラスから1人しかでないのだが、お前は優秀だから特別に入ることになったんだ。だからお前は副委員長」
「…あ、分かりました…」
「あと、今度の文化祭、お前も出ることになったから。ベース。俺はリズムギターででることになったから」
「…」
 返答の時間もくれず、ペラペラと空真は話す。
「そんなに、オトモダチと離れるのが嫌なのか?」
「…そ、そんなことっ!!!」
「嘘だ。三陸由姫と一緒のランクでいたいがために、今は戸惑っている。まあ、一気に3ランクも上がったんだ。そう思うのもおかしくはないがな」
 そのまま、空真は生徒会室をでた。
 ──嬉しいのに、なんか悲しい。由姫と一緒で居たかった。由姫との約束を破ったのかもしれないし、由姫からみて、私と同じ気持ちにさせた。
「……桜井さん」
「…あ、……飛鳥さん」
「その気持ちよくわかるわ。何かは教えないけど、同じようなことがあったのよ。私にも」
 だから、と言って、背中を押した。
「三陸さんに、言いなさい。その思い」
「…」
 たまっていた涙が、流れ落ちた。
 ありがとうございます。と言って、由姫のいる寮へ走って戻った。





「あんたは、なぜ生徒会長になった」
「ふふ。さぁね。あの思いはもう忘れたの」
「そんな返答は求めていない」
「じゃあ何よ」
「桜井夢叶のためか?」
「…さー…ね」



「由姫ぃいいぃ!!」
「…夢叶」
「ご、ごめんねっ。約束破っちゃったかもしれないの!!」
「何が?」
 由姫はふふ、と笑いながら言う。
「…一緒にBTにいようって…」
「あーそれ?…気にしてないわ」
「へ?」
「私だってAUにあがっちゃったし、しかも、Sランクに入れるってことはそれほどの才能があるってことじゃない。私にはない才能がねー」
 クスクス、と笑いながら、言葉をのせた。夢叶の涙が乾いていく。
「だから、次は私が追いつく。6年生になったら、絶対にSランクに入るもの」
「あー…ありがと!!」
 夢叶は由姫に抱きつきながら、少しだけ泣いていた。








「桜井夢叶?…あー、私と同じ年の姉を持つ子か。名前は姫香だっけ」
「その姫香が…」
「は?…別に姫香のためじゃないわ。誰のためでもない!私の意思で生徒会長になっただけよ。変なこと言わないで!!」
「…さーせん」

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