不機嫌フェイス

薄暗い明け方…ローは部屋から出て食堂へと向かった。幸いあのあとすぐ眠りに落ちたので色々と考え込まずにはすんだのだが…

「お、船長おはようございます!今日は随分早い…です、ね…」

早番のクルーが食堂へ向かう途中話かけてきた。ああ、とローは返事を返したものの、クルーはと言うと見てはいけないものを見てしまったかのような目をローに向けたので、ローは意味が分からず苛立ち睨みつける。

それもそのはず、ローはあのあと眠りについたはついた。なので考え込むこともなく目覚めはスッキリ…といくはずだったが、ローは夢にうなされ、いつもより酷いクマと眉間のシワ、今にも舌打ちが聞こえそうな程イライラした顔をクルーは見てしまったからだ。

「っ!!じゃ、俺はこれで!!(船長こわ!!なにあの人殺しそうな顔!)」

「…………チッ…なんなんだ」

ローは自分の恐ろしい形相に気づく事もなく、うなされた夢を思い出していた。きっと姫とシャチのあんな場面を見てすぐだったからか、夢では姫が自分の腕の中で、こちらを見上げて優しげに微笑む姿があった。

………いや、何だこの状況は。正直最初そう感じた。いつも目を合わせてもすぐそらすし、ビクつくばかりで近付こうともしないのに、俺の胸に頭を寄せ、安心しているのか、ゆっくり瞳を閉じ眠りにつこうとしている。初めこそ状況が理解出来ずに訝しげに眺めていたが、何を思ったか次の瞬間俺はその艶やかな黒髪を撫でようと腕を動かしていた。そして触れるか触れないかの所で………………目が覚めた。

そしてその自分自身の不可解な行動と夢の内容に一層イライラやらムカムカやらモヤモヤといった何とも言えない理解し難い感情に不快感を覚え、顔を歪めている内に先程の恐ろしい形相の成形に至ったのだ。

(…馬鹿馬鹿しい………)

重い足取りで目を覚ますため食堂へと珈琲を取りに向かった……。



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