お仕事しましょう2
「悪いが皿洗いがすんだらベポと甲板掃除をやってもらえないか?」
おお!お仕事追加!喜んで!性格上、何もすることがなく、手持ち無沙汰になるよりも、忙しなく動き回っていた方が気が楽だからだ。しかも可愛いベポくんと一緒なら尚更やる気も出る。
「はい、終わり次第すぐ手伝いに行きますね!」
「ああ、ありがとう」
ありがとうなんて…正直なんてことない挨拶に変わりないが嬉しかった。私も役に立ててると思えた。
手伝いを頼むと言われて10分程で皿洗いが終了し、パタパタと軽快に甲板へと向かえば、フワフワした毛並みが視界へと入り、少し笑みをこぼしながら近付いた。
「ベポくん!お手伝いさせて下さーい!」
「姫ーありがと!浮上したら甲板に変な海藻とかゴミが引っ付いててさー」
最悪!と漏らすベポくんも可愛いとか思いながら、言うように甲板には至る所に海藻類や、見たことないタマゴのようなものがくっついていて、少し気持ち悪い。
「じゃあ私、あのタマゴみたいなのを水で洗い流しますね。」
「じゃあお願いね、俺はこっちの海藻片付けるね。」
役割分担し、さて!やりますか!と意気込み、バケツに水を汲み運ぼうとした矢先、ベポくんがキャプテンと声を発した。船長さんが登場したようだが、何となく振り向けず、しかもバケツを持ち、私は固まってしまった。
「なんだこりゃ、汚ぇな…もっかい潜って流せよ」
振り返る事なく話だけ聞いていたが、頭良い!そうだ、別にバケツに水くんで往復とか、体折って海藻拾いなんてしなくともどちらも、もう一度潜水する事で解決してしまう。ベポくんもキャプテンすごい!と感心してた。
「姫!手伝いはもう良いよ!今から潜水して全部綺麗にするから!」
「あ、はい!」
ベポくんに話し掛けられ、振り向けば、案の定船長さんもいたが、やっぱり船長さんにはまだどこか怖い部分を感じ、顔もまともに見れない。ベポくんを凝視しながら横目に入る特徴的な帽子を盗み見るだけでベポくんを盾のように扱い、船内に入る。
一方ローはベポに話し掛けられ振り向いた姫に、視線を向けていたが、視線が交わるどころか、一切合うこともなく、しまいにはベポに隠れるように船内へ入る姫に不思議そうに眉を歪ませたのだった。
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