知らない事だらけ
「女物はない…服は悪いがそれで我慢してくれ」
「あ…はい、大丈夫です」
ベポくんから渡された着替えはどうやら隈のある彼のものらしい。食堂に着くなりそう言われた。サイズ的にそれほどダボダボな感じはないが、ロングTシャツ並に丈があった。ジーンズも裾をこれでもかって言うほど巻き上げて履いた。
「はいはい野郎共ー静まれー!姫が船長に運悪く捕まっt「room…」じゃなく!運よく!運よくハートの海賊団入りしたのを祝して!乾杯だ!!」
シャチさんが元気に話始め、一気に海賊さん達のテンションはMAXだ。なんか一瞬ブワッと霧?に包まれたような感じもあったが気のせいだったのか…。
「船長!なんか一言ないんすか!」
「馬鹿騒ぎしたらバラす」
いやそういう一言じゃなくて!と海賊さん達から一斉にツッコミが入る。…船長、あれいまこの隈の彼をシャチさんは船長って…そういえばベポくんもキャプテンとか、言ってた…ような。今更すぎて聞いていいものかと思ったが、不明確よりちゃんと明確な方が後々いい。そう思い隈のある彼に向き直る。
「すみません…」
「ん?」
「あなたがこの船の一番偉い人ですか?」
しばし食堂に沈黙があった後、今更確認とか遅!!と海賊さん達が噴き出した。ああやっぱり船長とかキャプテンって言ってたからほぼ間違いないだろうなとは思ったけど…なんか実は失礼なくらい当たり前な事聞いてしまった…と恥ずかしくなる。
「ああ、俺だ。悪かった、言ってなかったな…」
「いえ、私こそ察しなくてすみませんっ………でも最低限お名前だけ…」
「「「「船長ぉぉお!?」」」」」
まず会った時に名乗りましょうよ船長!え、ここまで船長とも知らず名前すら分からない状態で!?と食堂のあっちこっちから船の留守番で事の事情を全く知らない海賊さん達の言葉が飛び交う。
「トラファルガー・ロー」
「…」
「俺の名前、聞いたんだろ。」
「あ……はい、ありがとうございました」
トラファルガーさん、ローさん…ちょっと長いから忘れない内になにかにメモしなきゃ。
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