お風呂とお魚

「あ、お風呂は一番奥なんだよ」

分かりやすいから迷わないでしょ?とベポくん。だけど私は既に周りが同じ扉ばかりで、どこから歩き始めたかもう分からない。

「お、ベポ…と姫だ!」

前から来たのは船に乗る前に話かけてくれた帽子にサングラスの彼だった。もう名前を覚えてくれて少し嬉しかった。何してんだとベポくんに問い、ベポくんはお風呂に案内と答えた。

「はぁ!?ベポ、お前また白クマってのを良いことに…!」

俺と変われ!とか聞こえたりしたけど、私としては案内してくれるなら誰でも有り難いが、それを引き受けた所で何も良いことなんかないのに…と疑問を感じた。

「ダメだよ。俺がキャプテンに頼まれたんだから」

大丈夫だよ姫、俺メスの白クマにしか興味ないからさ!と可愛い顔してすごいインパクトのある事をサラリと言われた。返答に困ったので、とりあえずヘラリと軽く笑って済ませた。

「あ、あと今日歓迎会っつってたから腹しっかり空かせとけよ姫!」

そう言い、通り過ぎようとした彼の前に咄嗟に飛び出した。彼も、どした?とサングラス越しだがこちらを見た気がした。

「あ…ごめんなさい、その…名前、まだ聞いてなかったので…」

良かったら教えて下さい。と控え目に尋ねれば、なんだよそん事無駄に堅苦しい感じに言うなって!ビックリした、とニカッと歯を見せて笑った。

「俺シャチっつーんだ。よろしくな!」

今度俺と風呂入ろうなーと冗談なのか本気なのかイマイチ分からない言い方をしながらフラッと去って行った。

(ベポくんにシャチさん…)







「お風呂はここね」

俺は外にいるから上がったら出て来てねとベポくんに言われ、返事を返しお風呂場へ。

「………う…わ…」

潜水艦ゆえ風呂場、浴槽自体の広さはそんなにないが、それよりも目を奪われたのは細くガラス張りにされた場所。そこは今潜る海の中ががしっかり見えた。眺めていると、時折初めて見る面白い形の魚がフヨフヨ泳いで横切ったりした。素敵なお風呂につい長湯してしまいそうだ。





[ 8/22 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -