豪炎寺と冬花

※アンケ2位




久遠は床にぺたりと座り、背中を壁につけて脱力していた。深夜のことである。

「おい、風邪ひくぞ」
と、言って、体を少し軽く揺さぶるが起きる気配なし。爆睡しているほど疲れてたみたいだ。

もしかしたら具合が悪くて倒れてしまったのかもしれないと思った俺は久遠の顔をまじまじと見つめた。血色は悪くなさそうだな。

「・・・・・」
長いまつげがまず始めに目にはいり、次に少し乱れている服が目にはいる。胸元がちょうどはだけていて二つの膨らみが少し見えた。
俺は上着を脱いで胸元が見えないように被せた。これで、寒くはないだろうし胸を他のやつらに見られないから一石二鳥だ。

ああ、心臓が痛い。俺だって男だ。アレを見てしまえば興奮するに決まってるだろう。まして少し気になっている女子のだったらそりゃ心臓も痛くなる。

さて、そろそろ部屋に戻って眠らないと明日にひびいてしまう。
「おやすみ、久遠・・・」
久遠に聞こえたかは分からない、というより聞こえているハズがない。


朝起きると真っ先に久遠に会った。久遠から俺の部屋にきていて一瞬どうしたものかと悩んでしまった。
「おはよう、豪炎寺くん」
「あ、ああ。おはよう・・・・」
久遠は手に何かをもっている。そしてそれを俺に渡してきた。

「これ、豪炎寺くんのでしょ?」
「・・・まあ。でも、何で俺のだって分かったんだ?」
久遠は手を口元に持っていき考えるような仕草をした。

「に、においかな?えへへ・・・」
少し照れてしゃべっている。そして続けた。
「豪炎寺くんの良いにおいがしたから・・・それでね・・・。あ、そういえば、それ洗ったほうがいいよね、今洗濯するね」

「いや、いい。」
「え?」
「洗わなくて良いってことだ」
「で、でも・・・・」
「俺は気にしないからさ。それより、風邪ひかなかったか?」
「ぅん・・・大丈夫だよ」
「なら良かった」


久遠にこれを洗われたら困る。
俺は久遠がいなくなった後、おもむろに上着を顔にうもめた。
(久遠の・・・におい・・・)
目を閉じた。






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -