神童と茜
登校時、とても後悔した。
学校の校門あたりで挨拶をしている生徒たちは皆、マフラー・手袋をつけていて寒さに備えていた。
けれども俺はそんなものは身に付けないで、とても苦労しながら学校へと行っていたのだ。
他人と違うことにたいする恥ずかしさとか怖さとかあって、俺は大股で歩いて早く学校へと入っていった。
「シン様?」
聞きなれたソプラノの声
ああ、山菜茜ちゃんか。
「おはよう、山菜」
さすがに茜ちゃんと呼ぶのは驚かせてしまうし、恥ずかしかったからやめた。
「シン様寒そう・・・」
「ああ、すごく寒い。手袋とかしてきてなかったからね」
茜ちゃんは驚いていたが、すぐに俺の手を握った。
「これで、少しは暖まる、かな?」
「ぅ、ぅん・・・」
手だけじゃなくて顔も体も暑くなってきた。
効果ありすぎだよ、茜ちゃん・・・