天馬と葵
「葵は誰か好きな人でもいるの?」
天馬から急にそう聞かれた帰り道。それ以降私は天馬と会話をしなかった。
好きな人ってどういう意味の好き?友達?仲間?それとも恋愛関係のこと?私はなんて返せばいいのか分からず口を閉じたままだった。
「ねえ葵、俺はね」
天馬は、私が家につく少し前のところで立ち止まった。
「なに?」
「俺はね、葵のことが大好き、だよ」
まっすぐと私を見ているその顔は、もう落ちかけている太陽のオレンジ色に照らされてきらきらと輝いていた。
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