Thank U from now on



今日もあいつは朝早くから仕事に出かけた。オレは恥ずかしいことにこの年で無職で何もすることがない。なぜなら先月まで所属していたチームが会社の経営不振で無くなることになっちまったからだ。情けねえ。情けなくてこの状況をどうにかしたくてトライアウトをやってるチームを片っ端から探した。そしたら幸運なことに日本一のチームが募集をしていた。オレは死にもの狂いで練習してトライアウトを受けた。後にも先にもこの数週間が一番必死にバスケやってた時期かも知れねえ。正直五分だと思った。受かる確証はなかった。あいつに期待させて結局だめでしたなんてことなりたくなかったから何も言わなかった。いや、怖くて言えなかっただけだ。今日中に返事がなかったらアウト。あーくそ、早く来いよ返事。


もやもやとしたままいつまでもソファに寝そべるのは退屈でしかなかったから適当にバスケやろーぜって連絡入れたら火神が釣れた。んでそのまま近くの公園でお互い飽きるまで1on1をやった。最近は自分のために楽しくバスケやるって感覚を忘れてた。ハッ、やっぱこいつとやるのおもしれーわ。

「青峰、お前なんか前より速くなってねーか?ここんとこやってないはずなのによ」
「ん?あートライアウトのために鍛え直したんだよ」

トライアウトって言葉を出した瞬間なんかスゲー嬉しそうな顔された。んでそのままの顔でまた続けんだな!って言われた。こいついいやつだな。そういや中学で別れたあと高校んとき火神と付き合ってたんだよなあいつ。

「結果はいつわかんだよ」
「今日。…あ」
「あ?」

そういや忘れてた。こいつに会うまではそのことで頭いっぱいだったのによ。意識すると手が震えてきた。やべえ、オレ緊張してる。携帯の電源ボタンを押す。不在着信三件。黄瀬とテツヤと知らねえ番号。未だに震える手で発信を押した。やべえ、まじやべえ、早く出やがれ。


「――よかったな」
「おう」

結果は合格。明日から練習に参加することになった。よかった、あー…まじで死ぬかと思ったぜ。うわ、手汗スゲー。

「つか結果わかったんなら早く電話かメールしてやれよ。あいつも気になってんじゃねーのか?」
「あいつにはまだ何も言ってねー」
「はぁ?ンでだよ。んじゃー報告ついでにプロポーズでもすればいいんじゃねーの?お前らいつまでずるずる同棲してんだよ」
「うるせー」
「とりあえずオレ疲れたから帰るわ、またな」


うるせーバカガミが。でもまあ確かにそうだよな。……あー指輪でも買ってくか。サイズ…ま、なんとなくの細さが分かればどーにかなんだろ。




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