無条件幸福(サッチ)





誕生日の朝というやつはどうしてこう清々しいものなのだろう。ハハッ毎日おれに吠えてくるブルドックすら愛しく見えてくるぜ!不細工な面した猫が威嚇してこようが世界は美しく見える。なんたって今日はおれの誕生日だからな!


「よぉサッチ、なんかやたら機嫌良いな今日。」
「おぅエース!今日はおれの…」
「あ、なぁマルコ!ちょっとここ見せてくれ…!」
「またかよぃ…」
「聞けよ!」
「悪ぃ、今それどころじゃねーんだ!」
「それどころ…だと?」


なんか悔しくてハルタを捕まえようとするが坊っちゃんは寝起きで恐ろしく機嫌が悪いらしく逆におれがキレられた。イライライライラ。クソッ今日はおれの誕生日だぜ?なのにこの扱い。いくら寛大なおれ様でも今のはちょっと頭に来ましたぜコノヤロー。そんなおれを見かねてかクラスで一番仲良い女子がおれの元へやってきた。ちなみにおれが好きなやつ。残念ながら彼女ではない。



「サッチ顔キモいよ」
「うるせぇ」
「拗ねても可愛くないぞ」
「あぁ?拗ねてなんか…」
「誕生日おめでと」


ほれっ、そう言って差し出された小さな包み。ほのかに香る甘いにおい。カップケーキか?と思い袋を開けようとするとガバッと手を重ねられた。少し痛くてかなりドキドキ。心無し顔の温度が急上昇。もしかしたらおれインフルエンザかもしれねぇ。



「サッチみたいにうまくは作れないから味も見た目もあれだから…その、あー…食べるときは目隠しして鼻つまんで食べろ!」
「味わかんねーだろそれじゃ」
「わかんなくていいの!」


無条件幸福


次の言葉を告げる前にじゃあね!っと真っ赤になって走り去るあいつ。ヒューヒューと後ろから聞こえる声。あいつら…さっきまでおれに無関心だった癖に…!…まぁとにかく走り出したあいつを捕まえるのが先か。


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