「宮地先輩、この『4!』ってなんですか、なんですかこのエクスクラメーションマーク」
「びっくりマークって言えよ可愛くねえ高1だな。階乗だよ」
「かいじょう?」
「1からその数字全部掛けた数字のこと」
「ふうん。じゃあええと……24か。なんでえくす……びっくりマークなんですか」
「……エクスクラメーションでもいいけどよ……。そのまんまだよ、びっくりするほど大きな数字になるから」
「はあ? 24でしょ、そんなでもなくないですか?」
「反論すんなら訊くなよ轢くぞ」
「り、理不尽な……」
「……じゃあおまえ、10!はどんくらいだと思う?」
「え? えっと、1000くらい? びっくりマーク付けるくらいだから5桁くらいいったりするのかな」
「やってみろよ。ほら、1×2は?」
「2」
「2×3は?」
「6」
「6×4は?」
「24」
「24×5」
「え、えっと……ごしにじゅうのごにじゅうだから、120……?」
「120×6」
「ま、待ってください、えっと……12×6が、えー、72だから、10かけて、720!」
「よし、720×7」
「う、うう……140+490……じゃなくて、4900? ごせん、よんじゅう?」
「5040×8」
「40000と、32……320? 40320……?」
「正解。40320×9」
「も、もうわかりませんよ……!」
「バーカ。362880だ。10の階乗はその10倍だから3628800」
「さ、さんびゃくろくじゅうにまん……?」
「な?」
「た、確かにびっくりですね……」
「んじゃついでだ。0の階乗は?」
「え? 0かけたら0だから、0でしょ?」
「そう思うだろ? 階乗の規則性を見直すんだよ。2の階乗から3の階乗にするには何を掛けた?」
「えっと、3?」
「じゃあ1から2は?」
「2、ですね」
「そう。なら0から1にするには何を掛ければいい?」
「1、ですか?」
「そういうことだな。1の階乗は0の階乗に1を掛けた数。てことは、1の階乗の1を、1で割ればいい」
「ま、待って待って、整理させてください。えっと、1の階乗に2を掛けたら2の階乗になるから……0の階乗に1を掛けたら1の階乗になって、だから、1を1で割ったら0の階乗になる……ってことですか」
「おー、合ってる合ってる。んじゃ、1÷1は?」
「……1?」
「そう。0の階乗は1だ。同じ理論で全ての数の0乗は1になるんだよ」
「なるほど……宮地先輩、先生より断然わかりやすいです……」
「頭いい奴の説明は大抵わかりにくいからな」
「いやみですかそれ」
………………
数学が好きです。宮地先輩に勉強教えて欲しい