「今どこ」
『い、家です……』
本屋に向かっていた足を方向転換して彼女の家に向ける。少しぶっきらぼうな言い方になったのを後悔して、誤魔化すように今行くと告げた。『へっ!?』電話の向こうから彼女の高い声が響いた。『だ、だめです、だめだめっ』耳からケータイを少し離しながら、顔をしかめた。
「うっせえな、知るかよ」
『だ、だって……そう、あの、い、今、部屋汚いしっだからっ』
「はっはー、知るかって言ったよな? 裂くぞ?」
『ええ……!』
電話してきたのだって、そういう意味なんだろ? わざわざ声に出して確認なんてしないけど、勝手に都合良く解釈させていただこう。
幸い此処から彼女の家は遠くない。少し急ぎ足で、一年前まで何度も通っていた道をなぞる。俺が大学に進学して以来、この道を踏むこともめっきり少なくなった。約束しなくても毎日会えた1年前が少し懐かしまれる。
『ほ、ほんとに来るんですか……?』
「当たり前だろ。すぐ着くから掃除でもしとけ」
『うええ』
変な声を出すなまえは無視した。ケータイの通話を終わらせて、歩いていた足の速度を上げる。この辺りまで来ると人は少ないが、時折すれ違う通行人に、なんだなんだと言いたげな視線を向けられた。しかしそんなことを気にしている場合でもない。マンションに着いて、すぐに彼女の部屋を目指す。
呼び鈴を鳴らすと、中からばたばたと慌ただしい音が聞こえた。ばれないように息を整え、
………………
結局夢主視点にしようということになって没
文がアンビエントとがっつり対応してるので
良かったら一緒に読んでみてください