月曜に英語のプリントを貸しに行ってから、みょうじと一度も顔を合わせていない。別に3日か4日会わないことなんて今までに無かったわけでもない。けど、まあどちらかと言えば珍しい事ではあったので少し不思議に思った。

「最近彼女の教室行かないんだな」

不意に木村にそう言われて、顔をしかめた。こいつは心が読めるんじゃないのか。「いや、寂しそうな顔してたから、つい」何も言ってないのに全く悪びれずにそう苦笑いした木村の言葉に、思わず変な声が出た。寂しそうって、誰がだよ。俺がか。そんなキャラかよ、俺。

「無自覚か知らんが、ケータイ見る頻度上がりすぎだよ、おまえ」

「……うるせーよ」

ぱたん、とケータイを閉じた。……今も無自覚に開いていた。確かに、そうかもしれない。気付かなかった。

もう今月が終わり来月になる。受験生だからか、1ヶ月が明確な過去になる度に教室の空気が少し重たくなるのをどうしても感じてしまう。誕生日まであと1週間と少し、なわけだが、あまりそういうことに現つを抜かしていられるような時期でもないのが現実。
木村には彼女と過ごすんじゃないのかと聞かれた。大坪まであいつに祝ってもらえとか言い出した。勘違いしないでほしいが、俺たちは別に付き合ってもいないしそもそも堂々と友人だと言うことすら少し憚られるような仲なのだ。そう言うと2人とも心外そうな反応をするのだから、意味がわからない。

「つーか今年誕生日日曜日だし……」

「俺たちは午前練習のときに祝ってやるからなー」

「……どうも」

試合と被るとか、そういうことが無いのだけは救いだ。いくらバスケが好きとはいえ、誕生日まで試合したいとまでは流石に思わない。ただ、やっぱり平日だったら、みょうじからおめでとうの一言くらいあったかもな……とか、俺女々しいな、くっそ。

「彼女に言えばいいじゃん、誕生日だから祝ってーって」

「んなこと言えるかよ、彼女じゃねーんだから」

「そんなもんか? メールくらいしてくれるだろ」

「そういう問題じゃねーだろ……」

再び、ケータイを閉じる。また無意識に開いていたことに対して、俺の代わりと言わんばかりに木村がため息をついた。

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