ふと、2年のときに食べていたチョコレートを横から取られたことを思い出した。何すんのって怒ったら、隣から大坪先輩が「甘党なんだよこいつ」って教えてくれて、それが意外で、怒るのを忘れて思わず笑ったんだ。

普段そんなことしないけど、宮地の誕生日なんだし、ちょっと手作りのケーキとか挑戦してみようかな。
そうだ、プレゼントはリストバンドを買おう。無地のものにして、小さく刺繍をしてみよう。それならきっと、使ってくれる。

帰りの電車の中。ケータイでチョコレートケーキのレシピを検索しながら、自分の顔が緩んでいることに気付いた。くそ、私の表情筋め。彼氏でも彼女でも無いのに、彼が喜んでくれるとこばかり想像している自分に気付いて、自嘲した。

宮地の隣が私なら良かったのに、なんて、私の中のめんどくさい奴がめそめそ泣き始めるから、私まで少し気が滅入った。

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -