あいつにとっての「あいつ」だとか「きみ」だとか「あなた」だとか「あの人」だとか、そこに位置する人は誰なんだろう。

あいつだって立派な女子高校生なわけであって、そりゃ片想いや両想いの奴がいたって可笑しくない。なんでそんなことに気が付かなかったのか。自分から身を退いて、気遣えるいい人のふりをして、諦めきれずにまだ、あいつが手を伸ばしてくれることを期待していたのだ。見返りを求めないことに見返りを求めて、報われると思い込むことで此処まで来たのに、あいつは俺のことなんて、きっと全く見ていない。滑稽な話だ。


なんで、気が付かなかった。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -