一学期期末テスト
「宮地、今回も2位だ。よく頑張ったな」
「……は」
 、い。と、完全に返すまで、少し間がかかった。「1位を目指せと言ったが、やっぱりなかなか難しいな。でも喜べ、前回より点差は縮まったぞ」そうか、結果は出たのか一応。
 …………出たのか?
「すげーな宮地、また2位かよ」
「るっせえよ」
 また個票を覗き込もうとする木村をしっしっと払って、俺は自分自身でその紙切れを覗き込んだ。……おかしい。前回と比べれば、授業内容は完璧にしてきたつもりだし、返ってきた答案も当然大きく点数を損なったものは無かった。
 元々俺は、バスケのために自分の偏差値よりある程度引き下げてこの学校を選んだのだ。勿論入った後は学年上位をキープするのが自分の中の最低限の目標だった。ただ、今は目標がどうこうというより単純に、ただ単に俺が自分なりに対策をして尽力をしてそれでも勝てないやつがいるらしいということがどうやら相当悔しかった。
 いや待て、前回と同じやつとも限らない。限らないが、どっちにしろ悔しいもんは悔しい。元々負けず嫌いではあったが、この件については結構自信があったから特に、だ。
(つーか、誰だよ1位!)
 なんで前回俺は確認しなかったんだよ。自分の失態にそのときやっと気がついて、俺はがしがし頭を掻いた。相手を知らずして勝とうと思ったのが悪かったんだ、そうか敗因がわかったぞ。少し苛立ち気味に自分の席にがたがた座ると、隣の女子がおめでとうと声をかけてきた。何がおめでたいのかよくわからないが、おーどうもとだけ返す。
「あ、つか、おまえさ」
「えっ、うん?」
「前回の学年トップ知ってる?」
「前回の……ええと、なまえちゃん?」
「誰そいつ」
「ええ、知らないの?」
 女子改め飯原は、意外そうに目を丸くさせてから、その人物についていろいろ喋ってくれた。
 えっとね、みょうじなまえちゃんって言うんだけど、D組だったかな? うん、いい子だよ、ちょっとだけ喋ったことあるけど、明るくて、えっと……かわいいし。確か今回も学年1位だった、と思う……すごく頭いいんだって、苦手教科が無いとか全教科で上位者ランキング入ってるとか言われてるけど、全部本当らしいのが凄いよね。
「でも、まあ、普通の子だよ」
 と、そこまで言われて、とりあえずわかったのは前回も今回もその普通の女子に俺が負けたらしいということだった。
 確かに、俺も今の今まで名前すら知らなかったくらいだし、本当に普通のやつなんだろう。ただ、そう言われたところで、すでに俺の中では完全に2位から上がれずに悔しがる俺を見下ろして嘲笑う高飛車な女子の図が出来上がっていた。……くっそ、ムカつく。
「次は勝つ……」
 会ったこともないそいつを心中で殴り飛ばして、俺は固く心の中に決めた。待ってやがれ学年1位、次こそはおまえを元学年1位にしてやるよ。んで俺は学年2位を脱却してくれるわ。

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