「今年も大量ですな宮地くん」
「うるせえよ馬鹿かチョコレートの海に沈みてえのか」
「本望だわ」
「変態かよ轢くぞ」
「宮地を好きになった人って可哀想だよねえ」
「何、喧嘩売ってんの?」
「だってさ、普通なら告白したってだけでその人にとってある意味特別になれるわけじゃん? でも宮地が相手じゃ、告白しようがしまいが、大多数の1にしかなれないんだもん」
「……知るかよ」
「そんな宮地くんが妬ましくて仕方ないです」
「僻みかよ! 帰れ、そして出来れば死ね! 軽トラに轢かれろ!」
「まあ冗談だけどさー」
「今日のおまえうざいな、どうしたんだよ」
「そこで心配するからモテるんだよ」
「貶すイントネーションで褒めんな反応に困る」
「私ぶっちゃけ宮地のこと好きだからさあ」
「……はあ!? え、何さらっと告白しちゃってんの?」
「ただ告白したんじゃ意味無いと思って、声かけるとこから始めて2年以上経ったけど」
「お、おう……1年のときからなのかよ……」
「特別になりたかったし、多分それは成功したんだと思うけど」
「……」
「逆になんか動けなくなっちゃって。あはは、笑える」
「……」
「まあ、もう卒業だし? 記念に言っとくかーみたいな」
「んだよそれ、困るっつうの」
「おー、困れ困れ」
「ふざけんなよ蹴るぞ」
「宮地が困れば困るほど私のこと忘れられなくなるでしょ」
「……おまえ、ほんとなんなの」
「さあ、なんだろうね?」
「言うだけ言って放置とか質悪いわ」
「自覚してる」
「マジ轢きてぇ……どうすりゃ、いいんだよ」
「さあ、もう自由登校だしね。明日会えるかもわかんないし」
「ほんとに言い逃げするつもりかよ」
「どうだろう、私の気分次第?」
「あー、つうか、わりい、名字。なんかいい思い出で終わらせたかったのかしんねえけど」
「うん、え?」
「今、結構、……心臓、うるせえ、わ」
「え、宮地、」
「まだわかんねえ、から」
「……」
「記念とか言うな」
「……何それ、上手く行きすぎて、怖いわ」
「あーくそ黙れ! 煮込んで食うぞ!」