「かずくんってさ、義理はたくさん貰ったけど本命は一個も無かったわーって毎年言ってそう」
「え、何突然」
「八方美人だから、逆に彼女出来ないっていうか」
「……んなこと言われたらさすがに傷付くよ、俺でも」
「図星?」
「へーへー、俺はどうせいい人止まりな八方美人ですよーっと」
「まあかずくんバスケと真ちゃんが恋人だもんね」
「ちょっとちょっと、俺がホモみたいな言い方止めようか!?」
「違うの!?」
「違うよ!?」
「今世紀最大の衝撃だわ……」
「何言っちゃってんの!?」
「まあ冗談は置いといて」
「ガチかと思ったじゃん」
「何個チョコ貰った?」
「……16」
「内、本命は?」
「0」
「ぶふ、やっぱり」
「笑うなよ!!」
「どーせ『高尾ーこれあげるー!』『マジ!? やっり、女子からのチョコゲットー』『うわー高尾ずりぃー』『おまえ今日何個目だよー』みたいな感じでしょ」
「なんで知ってんの?」
「どんぴしゃかよ」
「つーか、別に良いんだけどな。彼女作ったって正直構ってやれる余裕無いと思うし」
「幼馴染とのこういう時間を彼女に割くんだよ、わかってないな」
「名前と喋れなくなんのやだし」
「何それ、たらしか」
「ドキッとした?」
「はいはいしたした」
「ぎゃはは、棒読みかよ!」
「かずくんは私から離れたら彼女の1人や2人すぐ出来そうなのに」
「2人もいらねーって、それこそたらしじゃん」
「かずくんバカなの?」
「何、名前は俺のこと嫌いなの?」
「好きだよ人として友達として」
「じゃあそーゆーこと言わないの、寂しいだろー」
「……ごめん」
「安心しろよ、伊達にハイスペックって呼ばれてねえぜ? ……絶対1人にしねーから」
「うん、……うん」