「カカオ100%ってもうそれカカオじゃん」
「うるせぇよ」
「チョコレートと呼称していいものじゃないよね」
「知るか」
「花宮でも知らないことがあるのか」
「……メーカーがチョコレートとして売ってんだからチョコレートだろ」
「メーカーがオムライスとして売ったら何処からどう見てもどう食べてもカレーだろうがオムライスなの?」
「そうじゃね?」
「適当だなあ」
「オムライスっていう名前のカレーがあっても良いだろ」
「良くないだろ」
「なんなんだよおまえ帰れようぜえ」
「じゃあさー、今花宮が私にうざいって思ってる状態のに私が恋っていう名前を付けたら花宮は私に恋してるってことになるんだよ?」
「ねえわ」
「でしょ」
「つうかおまえが俺の感情に名前を付けてる時点で反則だろ」
「そっかー」
「俺のこれは憎悪で嫌悪で悪意だっつの」
「でも名前だけじゃわかんないよ。チョコレートって名前のカカオみたいにさ、憎悪って名前の恋かもしれないじゃん」
「だからカカオ100%チョコレートはれっきとしたチョコレートだバァカ」
「名前が本質を表すって誰が決めたの?」
「おまえほんとめんどくせえな」
「めんどくさい私に付き合ってるのは花宮じゃん」
「……帰る」
「待ってよ花宮、ねえ、私のことほんとに嫌い?」
「嫌いだ、バァカ」