※年齢操作(成人後)



ピンポーン、と玄関の呼び出し音が鳴る。大晦日の23時48分。一人暮らしの火神の家に、それも大晦日のこんな時間に突撃してくる人間なんて、向日葵のように明るい色をした男以外にいるはずもない。
開いたドアの向こうには想像通りの黄瀬がいて、寒かったぁ、と息を吐き出した。良かった、カウントダウンに間に合った、と呟きながら、ブーツを脱いでリビングへと行きソファに腰をおろす。あ、火神っちも早く。ぽんぽんと右隣を示す黄瀬に促されて座れば、膝の上に温かな箱が置かれた。微かに、蕎麦を食べただけの胃を刺激する良い匂いが漂ってくる。カウントダウンの準備するっスよ。スマホの画面に現在時刻を大きく表示させ、黄瀬は火神の膝に置いた箱の他に持参した風呂敷から、洋酒の瓶を取り出した。シャンパンだ。クリスマスは仕事で飲めなかったから。黄瀬は歌うように言いながら、勝手知ったる火神宅の食器棚からグラスを二つ取り出す。これ何だよ。グラスを受け取りながら尋ねると、開けていいっスよ、と上機嫌の黄瀬が笑った。蓋を開けると、大きな肉まんが四つ詰められている。冬といったら肉まんでしょ。グラスに注がれた綺麗な色の液体から泡が生じるのを眺める黄瀬が可愛かったので、カウントダウンのお供に肉まんで良いのかという言葉は飲み込んでしまった。外寒かったから、あったかいもの食べたくなったんスよねぇ。



カウントダウンが始まる。右手にグラス、左手に肉まんを持って、黄瀬は火神と視線を合わせた。今年はお世話になりました。ぺこりと金色の頭が下げられる。日付が変わり、新しい年が始まる。今年もよろしくお願いします。にっこりと笑って、黄瀬が言った。新年を迎えた火神が最初に見たのは、どの雑誌に載っているのよりも美しい恋人の笑顔である。
ベランダで初日の出見ようね、火神っち。肉まんを頬張りながら、黄瀬は火神を見た。シャンパンゴールドの瞳がきらきらと輝いている。


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かぎかっこのない文に挑戦してみた。


12/31〜1/21(2012〜2013)
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