1週間後・午後3時のこと


今日の部活は午前中だけだった。マジバで昼飯を食って帰り、家でのんびりしているとすぐに小腹の減る時間。いわゆるおやつの時間である。
冷蔵庫の中や戸棚の中を確認して、黄瀬がいることも考えて作ったのは、ワッフルだった。皿の上に焼きたてのワッフルを取り出し、その上にたまたま冷凍庫にあったバニラアイスを載せメープルシロップをかけてやれば、それなりのものが出来上がる。
蜂蜜色の瞳をきらきらと輝かせてバニラアイスとメープルシロップが混ざり合うのを観察して、黄瀬は使い方をマスターしたナイフとフォークを使い、ワッフルを口に運んだ。
常から思っていたが、黄瀬の一口は小さい。要するに、食べるのに時間がかかる。黄瀬は蕩けそうに幸せな顔でゆっくりとワッフルを食べ、そして皿を空にした。

「美味しかったっス、ごちそうさま」

「お前、ほんとに甘いもの好きだよなぁ」

向かいに座っていた俺の隣へと近付いてきた黄瀬が、にっこりと笑う。

「お礼するっス」

「は、ちょ、待て……っ」

お前がお礼だと思ってるそれは映画の誇張表現なのだと説明する前に、黄瀬の唇と俺の唇が合わさった。メープルシロップとバニラアイスの甘い味がする。

「ありがと、火神っち」

誤解を解こうと開いた口は、目の前の綺麗に整った笑みを前にして目的を達成することもなくそのまま閉じてしまった。甘い甘い風味がまだ、唇に残っている。





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