2日目・昼休憩中のこと


クリームパンの袋を開封し、袋は食べんなよ、と一言添えて黄瀬に渡した俺を見ていた黒子が首を傾げた。

「黄瀬君の様子を見ていると、お風呂も一人では入れないように思えますが」

「………………」

「……一緒に入ったんですか」

「しょうがねえだろ。入り方分かんねえって顔だったし」

これがガチムチで体毛も濃い男だったら俺もさすがに一緒には入らなかったかもしれないが、黄瀬の見目はご覧の通りだ。少しばかり躊躇いはしたものの、嫌悪感はわかなかった。
髪を洗ってやっているときの、気持ちよさそうに目を細める様子が愛玩動物のようだったな、と思い返している俺の隣で、黄瀬はちびちびとクリームパンを口に運んでいる。
じーっとこちらを見つめていた黒子に、再び問いかけられた。

「もしかして、一緒に寝ました?」

「……“寝る”っていうのがどういうことか分からねえみたいだったから」

朝まで微動だにせずソファの上で過ごされたりしたら、俺の居心地が悪い。
幸いにも、恵まれた体格の男二人が一緒に寝ても余裕があるくらいのベッドだったから、やったまでだ。隣に横たわる黄瀬の目を閉じさせて、瞼の上に掌を乗せたまま、子守唄まで歌ってやって、眠らせた。
黄瀬が寝たと分かったときは、一種の達成感を感じたことを思い出す。

「世話焼きという一言では片付けられない気がしますね」

「……?何か言ったか?」

「いいえ、何も」





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