1週間後


基礎練中のことだ。今まで体育館の隅で大人しくしていたテツヤ2号が短い足を懸命に動かして体育館の扉まで走り、キャウンと甘えた声で鳴いた。
どうかしたのか、と不思議に思ってチームメイトと同じように視線を向ければ、光色の髪に黄金色の瞳を持つ天使がそこにいた。初めて出会ったときの白い布一枚という格好ではなく、シャツにチノパンというラフな服装をしている。しゃがみ込んでテツヤ2号を抱えた黄瀬が、俺の視線に気づいてこちらを見た。
綺麗に整った顔に笑みを浮かべて、黄瀬は言う。

「我が儘言って来ちゃった。また、火神っちのお世話になるっスよ」

迷惑、なんて思わない。今度は何を教えてやろうか、そんな考えが咄嗟に浮かぶくらいには、黄瀬と過ごした日々は俺にとっても楽しかったのだった。




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