2日目


アメリカにいたときの友人で色々あって喋れない、という若干苦しい説明に先輩たちは訝しげにしながらも、黄瀬が部活を見学することを許可してくれた。俺が先輩たちに事情を話している間に、いつの間にか黄瀬はテツヤ2号と仲良くなっている。

「黄瀬君連れて来たんですね」

アップを始めた俺の隣で、同じように屈伸をしていた黒子に話しかけられた。

「あー、世間勉強っていうやつ、させようと思って」

「世間勉強ですか……」

黒子は体育館の隅に座る黄瀬に視線を向ける。膝の上に乗せたテツヤ2号に顔を舐められながら、黄瀬は笑っていた。







◇◆◇







その日の練習も順調に進んだ。午前中の基礎練の後、半ば餌付けのようにして黄瀬と昼飯を食って、午後は試合形式のミニゲームをこなす。それが終われば、あとは自主練なり何なり個人で自由にできる時間だ。
黄瀬にボールを持たせてみれば、隣のコートで練習してた主将を真似してたどたどしくもシュートを決めた。初心者にして、初のゴールが3Pとか、やはり人間離れしている。あるいは、ものすごいバスケの才能があるかのどちらかだ。
黄瀬君ってバスケ経験者なの、と瞳を輝かす監督に、誰が真似していいって言ったよ、と黄瀬の金髪をぐしゃぐしゃと撫でる主将を見てホッとする。このまま黄瀬が色んな事を覚えていけばいいと、そう思った。



いつも通りの体育館のはずが、今日はいつもより明るく感じる。金色の光を振りまく黄瀬がいるからだろうか。







◇◆◇







帰りに寄ったマジバでは、黄瀬はシェイクを気に入ったようだった。俺には甘過ぎると感じるそれを、黄瀬はちびちびと飲んでいる。一緒に寄り道した黒子が、シェイクの良さが分かる黄瀬君と語り合いたいです、と珍しく顔に喜色を滲ませて呟いた。



マジバの前で黒子と別れて、家に帰り、風呂に入って、寝る。いつもと違うのは、隣に黄瀬がいることだけだった。







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -