※二年後海常。黄瀬くん主将。

「信じてる」

黄金色の双眸がやんわりと細められ、甘い声で紡がれた言葉は空気と交わって溶ける。広い体育館にいる大勢の観客だとか、敵のチームだとか、そういうものは黄瀬が口を開いた瞬間から意識の外に放り出された。周りには味方しかいない空間が広がっている。
部員達から絶大な信頼を得る、唯一無二の主将。伝統ある海常の青色は、この人のためにあるのだと評したくなるような、美しい金色を持つ黄瀬が微笑む。
信じてるよ。その言葉はスタメンだけでなく、ベンチにいるメンバー、応援席にいる部員にも向けられたものだ。
黄瀬の言葉は魔法だ。耳に入り込んだ瞬間に、緊張に震えていた足はしっかりと床を踏み締める。心拍数は落ち着き、手が汗で湿ることもない。全員がベストの状態で試合に臨めるような状況を作り出す。金色の主将にだけ使える魔法が、存在している。

「さぁ、行こうか」

黄瀬は足に付けているレッグスリーブを整えて、立ち上がった。目指すはコートの中、手にすべきは勝利の二文字。



皆と勝ちたい、と黄瀬は言った。主将を勝たせたい、と部員は思っている。


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理想の主将及川さん(排球)に影響された。

2/27〜4/20(2013)
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