裸族赤司(赤黄)(02/17 20:40)※未来設定。赤司くんが変。
ぼふんっ、と赤司の顔にバスタオルが投げつけられたのは、彼が風呂を上がり洗面所を後にしリビングへと足を踏み入れたときだった。すぐに床へと落ちたタオルを拾う赤司へと向かって、それを投げつけた黄瀬が非難の声を上げる。
「もー、せめてパンツくらいはいてっていつも言ってるじゃないスかぁ」
「ここは僕の家だ。裸でいようが別にいいだろう」
「赤司っちの家であると同時に、俺の家でもあるんスよ。それに、赤司っちのイメージ的にも問題っス」
お茶の間を騒がせるイケメン棋士が、裸族だなんて誰が喜ぶだろう。画面の向こうではきっちりと和服を身に付けている赤司が、自宅ではノーパンですなんて、そんなギャップは世間一般に求められていないのだ。
「何だい、涼太。そんなに僕の体に不満があるのか」
しぶしぶと下着だけを身に付けた赤司がソファに座る黄瀬の正面へと近付いて、蜂蜜色の双眸を見つめながら言う。
「僕の体が、だらしないとでも言うのかい」
「そんなこと言ってないでしょ。あの赤司征十郎が裸族だったなんて週刊誌に嗅ぎつけられたら、面白おかしな記事書かれて赤司っちの評判にも影響するって心配してるんス」
「……僕が家では裸だと知っているのは涼太しかいないが、お前は僕を低俗なゴシップ誌に売るのか」
妙なところでボケる赤司に溜息を吐きつつ、黄瀬は赤司のために部屋着を用意してやろうと立ち上がった、ところで手を引かれ再びソファの上に舞い戻る。突然のことに文句を言おうとした黄瀬の正面には歪み一つなく綺麗に整った赤司の顔が近付いていて、開きかけた口は何の言葉を紡ぐこともなく閉じてしまった。
「それに、涼太は僕の体が好きだろう?」
にやりと、その綺麗な顔には似つかわしくないいやらしい笑みを浮かべて、赤司は黄瀬の耳元に唇を近付け囁く。カチリ、とピアスに歯をたてる音が直に耳内に響いて、黄瀬は大きく肩を揺らした。
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