高実(高尾×実渕)
(02/17 20:48)


※なぜ実高は増えるのに高実は増えないのかという嘆きの元に生まれた自給自足ネタ。いつ?どこ?というつっこみはタブー。


180センチも後半の男にしては細いように思われる手首を、高尾は力加減もせずに真っ白いシーツに押さえつけた。痛いのだろう。実渕は柳眉を顰めながら、怯えにも近い色を浮かべている高尾の双眸をしっかりと見つめ返してくる。ぎりり、と手首を押さえる高尾の手の力がまた一段と強くなり、実渕は形の良い唇に弧を描いた。

「随分と余裕がないのね」

柔らかに優しく、さらさらと流れ込むような声色で耳内に入り込む声に、高尾は一層表情を歪めてみせる。余裕がない? 当り前だ。高尾がこうして実渕の動きを封じていなければ、その手は高尾の背中に触れ、腹を伝い、尻を撫でるというのに。
掘られる、という言葉がさっきから高尾の脳内をぐるぐると駆け廻っている。冗談じゃない。あり得ない。男のアレが体の中に入るなんて、想像もしたくない。
冷や汗だか脂汗だか分からないものが皮膚に滲んでいる。実渕の手首を掴んでいる手が汗で滑りそうだ。ふふっ、とそれだけ見れば女のような仕草で、実渕が笑ってゆっくりと口を開く。

「そんなに力を入れなくても。逃げたりしないわ」

ずるり、と汗で滑った高尾の手を、拘束から解放された実渕の指がゆるりと撫でた。手首、手の甲、手の腹、と確かめるように高尾に触れていた実渕の滑らかで美しい手が、長い指が、高尾の指と指の狭間にするりと入り込んできて、ぎゅっと握られる。
それによって今まで以上に、恋人同士が寝台の上で繋がるときのような状態になってしまったことを認識して、高尾の背筋が粟立った。おかしい。先程までは実渕を押さえつけていたというのに、今度は逆に実渕に捕らえられてしまっている。

「本当は私が抱きたかったんだけど」

そう吐き出された言葉に高尾は目の前が真っ暗になるようだった。抱かれるなんて真っ平ごめんだ。彼女とのアブノーマルなプレイが発展してそういうことになるのなら少しは考える余地もあるかもしれないが、相手が男だなんて考えたくもないのだ、本当に。

――掘られるくらいならば、いっそ。

「あなたになら、抱かれてもいいわよ」

実渕の柔らかな声が耳から入り込んで頭の中を侵食していく。掘られる前に掘る。それしか、今の高尾には選択肢がなかった。




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