女の子とは中学生という早い段階でキスをした。その先のことに及んだのも中学生のときだ。女の子の扱いは俺が一番分かる。そう自負していた。たくさんの女の子を大人の女にしてやったのは俺だ。いろいろイケナイことを教えてあげたのも俺だ。
…けれど。
俺がイケナイことを教わったのはその女の子たちじゃない。紀田くん、とサディスティックに微笑むその人はただ一人。
臨也さんだ。
「イけない快感っていうの?イきたいけどいいところでとめられる快感って病みつきになるんだって」
「んあっひ、ぁあっんっ」
「で、どうなの?イきたくてもイけない快感って?」
「や、無、理ぃっ、も、無理っあぁっ」
「かなりいいみたいだね」
ニヤリと笑いながら臨也さんは俺の中で蠢くそれをぐちぐちと掻き回した。それは所謂バイブというもので。それが俺の中で振動を変えながら動く。その振動を変える操作も全部臨也さんがやっていて、常に俺は機械に意識をかき乱される。
さらに臨也さんがイきたいのにイけないと言っていたのは、俺自身につけられたコックリングのことを指している。それが俺自身を戒め、達したくても達せないという最悪の状況に俺を陥らせている。
「い、ざやっさっ、も、あっ」
「まだまだ。イク寸前にとめられる快感ってのを君に味あわせたいからね」
「ゃああっひ、ぁあっ」
中でバイブがいいところをごりごりとえぐるように突いて、声が抑えられない。
臨也さんとこういう仲になったのは俺が黄巾族のことで臨也さんに頼りだした頃だったと思う。あのときから今までたくさんのことを教わった。たくさんのこと、ということはいろんな意味でだ。それからときどきこういう行為をする。それは恋人同士かと勘違いしてしまうぐらい甘かったり、かと思うとただの一方的な行為であったり、多分それは臨也さんのそのときの気分で決まるのだろう。
今日はどういう気分なんだろうと思う。俺が機械でただ喘いでいるのを見ているだけで楽しそうにしているのだから比較的機嫌はいい方なのだろう、と回らなくなった頭でぼんやり考える。
しかし思考はすぐに遮断される。
「んぁあっふぁっああっ!!」
意識を違うところに向けてこのいきすぎた快楽をやり過ごそうとしたが、中のものの振動が強くなり、意識はすぐに現実に引き戻られる。
「んっ臨也さんっげんか、いっぁあっ」
「えーもう無理ー?」
そう言って臨也は俺のモノを擦った。その快感に異常に反応してしまい、甲高い声で喘ぐ。早くイかせて、と頭を振る。ただイきたいという思いだけに頭が支配され、もう理性なんか残っていなかった。
「そろそろ、かな」
臨也さんはそう小さく言って、俺のコックリングを外した。とたんにとめられていた精液が飛び出す。
「ひっぃああああぁっっああんっ」
精を吐き出し、肩で大きく息を吸う。はあはあ、と荒い息を吐き出しながら快楽の余韻に浸った。
「なるほど。イク寸前にとめられる快感ってのは要はそのあとにイクと気持ちいいってことだったんだ」
のんきにそんなことを呟く臨也さん。俺は正直全然余裕がなくて、その言葉に文句を言うこともできない。体がときどきびくっと魚のように痙攣する。まだ息が整えられていない俺に、臨也は耳元でささやいた。
「気持ちよかっただろ?」
うつろな目で臨也を見ると、臨也さんは心底楽しそうに笑っていた。
その顔を見ると頷くしかなくて。
最初のときは快楽にこんなに従順になることができなかった。まさか自分がこんなに快楽に弱いだなんて知らなかった。
俺の体は自分でも気づいてないぐらい臨也さんに染まっているのだろう。
臨也さんと関係をもったあの日から俺の体は臨也さんの好みに合わせた体に開発されっていったのだろう。
それこそ臨也さんがいなくては生きれないくらいに。
貴方から教わるABC