「っう…」
頭を押さえて俺はむくりと起き上がった。ひどく頭が痛む。目もかすむ。ずきずき痛む頭を抱えて今何時だろうとぼんやり考え、ずる…と体を動かしたときに腰に甘い痺れが走った。
「っひあっ…、なに…っ?」
いきなりの快感に目が覚める。そして横でむかつくくらい静かに寝ている人間の存在に気がつく。
「静、ちゃん…っ終わったら抜けってあれほどっ、ぁっ」
そして今の自分の状況もようやく把握する。昨日セックスをしたときに気絶しそのままのまま静ちゃんも寝たのか、静ちゃんのものがいれてある状態だ。その状態で無闇に動いたから変に刺激が走ったのだ。
ああ、最悪。
体力のある怪力馬鹿はタフさが売りなのに昨日はたまたまダウンしちゃったってこと?ばかじゃないの?終わって俺が気絶してたらちゃんと後始末はやっとけって日頃から散々言ってるのに!
心の中で静ちゃんを罵りながら今のこの状況からどうしたら抜け出せるのか考えた。静ちゃんはぐっすり寝てるし、ていうか起こすといろいろ面倒だし、自分で抜くしかない、という結論に至る。最悪、最悪と頭の中で連呼しながら、まず静ちゃんに馬乗りになって、静ちゃんの腰の横に手をついた。
「っ…んっ、」
そして自分の腰を持ち上げて、ゆっくりと静ちゃんのものを抜いていく。ずず、と少しずつ抜けていく静ちゃんのもの。けれど抜いていた途中で、ある一点に静ちゃんのものが当たり、その突然の快感に思わずがくんと腕が曲がり、ぐちゅっと音がして俺は静ちゃんのものをまた深くくわえこんでしまった。
「ひっあ、んぁあっんんっ」
心なしかさっきより深く繋がった感じがして変な汗が流れる。まずい気がする。このままこれを繰り返したら絶対起つ…!既に俺自身はゆるく反応しており、内心焦る。けれど焦れば焦るほど抜けず、俺は息が荒くなってきた。
「んっん、ん、ふぁっあぁあっ」
だいぶ抜いたしもうすぐで全部抜ける…と思っていると妙なところでいいところを擦り、また静ちゃんのものが俺の中に収まる。その繰り返しをしていた。そのせいで顔は火照り、腕も自分を支えるのが辛くなってきてプルプル震えていた。元々寝起きで体に力が入らないからとっとと抜いてしまいたいのに…!文句を言っても抜けないものは抜けない。はあっとため息をついて再チャレンジしようと腕をぴんっと張る。俺自身は既に結構起ち上がっていたけど、とりあえずそれは抜いてからどうにかするとして、今は抜くことだけを真剣に考える。
「んーっ、ん、っふ、っあっあ、っ」
もうちょっと…!
「っんっんっ、ひっん、っああぁんっ」
またもや快感が身体中に痺れ、思わず腕をゆるめたことで静ちゃんのものが自分の中に引っ込む。
「も、何で…っ」
今やってたことって俺が静ちゃんので自慰してるみたいじゃないか…!そう思うと体が熱を帯びた。
あまりにもこの状況が辛すぎて涙が出てくる。快感が何度も身体を貫くし、自身も起ち上がってきたし、体は火照るしでどうしようもできないこの状況にぐすっと涙ぐんだ。
すると下から声がした。
「よう、臨也」
「っ静ちゃん!」
静ちゃんが起きたので慌てて涙をぬぐう。そして顔が青ざめた。今まで何してたんだ?とか聞かれでもしたら…!
「今まで何してたんだ?」
「えっいや…」
なんで一番聞きたくないことを聞くんだろう…。静ちゃんなんか死ねばいいのに。心の中で悪口を吐きながら、この状況をどう説明しようか頭を回転させた。俺は静ちゃんに馬乗りになって、静ちゃんのを中にくわえこんでいる。端から見たら襲っている状態みたいじゃないか…!
そう思っていると静ちゃんがあり得ない言葉を口にする。
「いや、ナニしてたんだ?って聞く方が正しいか」
ニヤニヤしながら笑う静ちゃんの顔を凝視する。今こいつ何て言った?
「静ちゃん…もしかして知って、」
「俺からしてみたら臨也君が俺のもので自慰してるみたいだったぜ」
この言い方…まさか最初から…。笑みを深くする静ちゃんに顔面を蒼白させながら俺は尋ねる。
「もしかして最初から起きてたの…?」
「あーまあな」
「っなんで起きたこと言ってくれなかったのさ!おかげで俺…!」
「おかげでなんだよ」
クッと笑う静ちゃん。上から見下ろしているのは俺のはずなのに、完全に主導権を相手にとられているようで、かっと真っ赤になった。
「自分が先に起きたからって俺ので楽しむなんてさすが淫乱」
「ち、ちがっ、俺は抜こうとしてっ」
「ふーん。こんなおっ起てといてよく言うよな」
「ふあぁっ」
静ちゃんが俺のものを擦りあげる。静ちゃんを睨むと先端に爪を立てられた。それにも甲高い嬌声をあげてしまう。
「起きたらびっくりしたぜ。お前が俺の上で俺ので自慰してんだもんな」
「だから違うっての…っばかじゃないの静ちゃ、っああっ」
「そんな喘ぎながら言われてもな」
この変態ドS!俺がほんとにそんなことやってないって分かってるだろ!そう文句を言ってやりたいけど、その抗議の声も喘ぎ声に変わる。自慰なんかしていないって分かっているのに言っているところがむかつく。俺自身は完全に起ち上がっていてふるふると震える。
「静、ちゃ、ぁっ、んんっ、も、お」
「あ?おねだり早くねえか?」
「だっ、て…!」
「あーそうだな。お前は俺でだいぶ前から楽しんでたもんな」
「やぁっちが、う、んんっぁあっ」
首をふり、ぽとぽとと涙を溢す。その涙を静ちゃんは起き上がって舐めてぬぐった。
そして耳元で息を吹き掛けながら俺にささやく。
「昨日抜かずに寝たのが実は知っててやりました、って言ったら怒るか?」
俺はその言葉に驚きすぎて何も言えなかった。静ちゃんは草食動物を狙う肉食動物のような今まで見たことのない目でニヤリと笑った。
ささやきは甘く
Diabolus fecit, ut id facerem.