!捏造あり
!なんか粟楠会が悪者










ハアッハアッハアッ

狭く暗い路地裏に激しい息づかいが聞こえる。そこには肩を大きく上下させながら座り込んでいる臨也と静雄がいた。

「…静ちゃ―ん?生きてる?」

「お前こそ生きてるか、臨也」

「ぴんぴんしてるよ」

「うそつけ。血出てんぞ」

「静ちゃんだって」

臨也と静雄は粟楠会に追われていた。臨也はついにへまをして粟楠会の怒りを買い、粟楠会の人間に追われていた。もちろん捕まれば殺される。

波江は先に関西の方へ逃がした。あとは自分が逃げるだけだったのに、さらにへまをし粟楠会に池袋の町で追われることになったのだ。

そんなデッドレースになぜ静雄も関わっているのか。それは静雄が臨也を粟楠会の人間から助けたからだ。臨也を助けたことによって静雄は完全に関わってしまった。粟楠会に逆らったららもう池袋では暮らしていけない。なのに静雄は、自分から巻き込まれたのだ。

「静ちゃんってさ、馬鹿だよねえ」

「ああ?」

「だってこんなことして捕まったらただじゃすまないんだよ?なのに…静ちゃんってばか。本当ばか。」

うつむきながらぼそぼそ言う臨也。静雄は臨也の頭にポンと手を置いて言った。

「なんだよ、心配してくれてんのか?」

「なっばかじゃないの!わざわざ巻き込まれにくるなんてばかだよって話だよ!」

「お前が心配なんてめずらしいな」

「だから心配なんかしてな、」

チュ、とリップ音が路地裏に響く。静雄がキスしたせいで臨也は最後まで言えなかった。最後までちゃんと話聞け!と臨也が言うと静雄はうっすらと笑った。

「逃げ切ったら俺もお前と関西に行く。それでいいだろ?」

その言葉に臨也は最初ぽかーんとしていたが、やがて驚いた顔で早口で言った。

「関西行くの知ってたの?誰に聞いたの?波江?」

「ああ。波江さん?に教えてもらった」

「波江あいつ…!」

「お前は俺に何も言わずに関西へ行く気だったのか?」

「だって…巻き込みたくなかったんだ…だから、」

静雄の視線から目を反らし、臨也はぼそぼそ言う。静雄は臨也を目が合うようにこちらを向かせ、言った。

「ばかはお前だ、臨也。俺がお前を助けたのは俺の意思だ。恋人が追われてんなら助けるのが当たり前だろ。何で一人で解決しようとするんだよ。ちゃんと俺も頼れ」

「静、ちゃ、」

「分かったな?」

「うん…」

臨也は自分が真っ赤になっていることに気づいた。静ちゃんの言葉で真っ赤になるなんて我ながら乙女で気持ち悪い、と思ったそのとき。

「平和島静雄と折原臨也はいたか!?」

「いない…路地裏に潜んでいるのかもしれない!」

粟楠会の声がした。その声を聞き、静雄は立ち上がった。臨也も立ち上がりコートを羽織直す。

「休憩タイムも終わりってことかな?」

「そうだな」

臨也は静雄の蝶ネクタイを引っ張って自分の方に向かせた。そして言い放つ。

「捕まったら死ぬ。絶対捕まらないでよ」

「お前も絶対に捕まるな」

そう言ってお互いニッと笑いあった。今度は臨也が噛みつくようなキスをする。

「ねえ静ちゃん、」





愛したのがきみでよかった







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