!3巻までのネタバレ含みます










俺と帝人が出会ったのは必然的なものだったと思う。幼なじみで、しばらく離れていたけど高校でまた一緒になった帝人。

最初会ったときは相変わらず変わってねーなーとか言ってたけど、高校入ってから3ヶ月も経つと、俺は幼なじみの昔との違いに謀らずしも気づいてしまった。

帝人は俺に助けを求めるくせに、俺の声がちゃんと届いてない。俺の話はちゃんと聞いてるし、ちゃんと返事するし全然聞いてない、とかそういう意味ではなく。

聞こえるなら、ちゃんとこっちを見て返事をしろよ。 そう思うことが多くなった。目の前で紀田くん、と言って笑う帝人が俺とは違う人間に見えるのはなぜなのだろう。最初は俺のことを何か気に入らないのかと思った。

違う、帝人はいつでもそうだ。本当の自分を俺には見せない。 俺と会わない間に何かあったのか。そう考えてしまうのは仕方のないことだと思う。

けど、それでもずっと一緒にいたら、少しぐらい俺と会わない間に出来た帝人を理解できるのかもしれない、と思った。 時間が掛かっても本当の帝人を見たいと思ったから。

この池袋には全ての原子が引き合うように、いなくてはならない存在が引き合いあって生まれた街だ。俺の心も早く帝人に近づけばいい、そしてまた二人で笑いあえたらいい。そう願った。けれど、あの黄巾族事件で臨也さんから告げられた真実。

「ダラーズの創始者は帝人くんだよ」

だからか、と思った。池袋に来てからの帝人への違和感はこれが原因だったのか、と。立場がお互い全然ちがう。帝人はダラーズの創始者で俺は元黄巾族のリーダー。

お互い、住む世界がちがう。

昔二人で笑いあってた記憶が遠くなっていく気がした。俺は過去に決着をつけなければならなかったし、帝人はこれほどまでに拡大したダラーズの収集をつけなければならないだろう。

そのとき俺と帝人の歩む道が違っていたことに気づいた。それならば、と思った。

それならば全て0に戻してしまおう。それによって何かが壊れたとしても、失われたとしても、それで俺と帝人が向き合えるのなら構わない。

だから俺は沙紀を連れて池袋をでた。

いつかまた帝人と杏里と俺で一緒に過ごせる日を願いながら。




さよならワンダーランド








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初音ミクのラブアトミック・トランスファーが帝正に聞こえて仕方がない。いい曲です(´;ω;`)


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