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  マスルールとシャルルカン


※現パロ



突然だが、マスルールは恋愛事が絡むイベントに興味がない。
バレンタインデーに女の子からチョコを渡されても、食うだけ食って終わり、という感じだ。きっとアイツはバレンタインを「沢山チョコがもらえる日」ぐらいにしか思っていないだろう。
だから、先月のバレンタインデーにチョコをねだられて、最終的に失敗作のチョコを無理矢理ぶん取られて食べられたときはびっくりした。
…あの時に俺は、後にも先にも、アイツがこういうイベントに興味を示すのはこれで最後だろうなと思った。

……そう、思っていたのだ。



「なに、これ」
「チョコです」

目の前に差し出されたのは綺麗にラッピングされた大きくもなく、小さくもない手頃な大きさの箱。
それをいきなり差し出されて俺の頭ははてなマークで埋め尽くされる。
とりあえず疑問に思ったことをそのまま口に出すと、マスルールはそれ以外に何があるんだとばかりにチョコだと………ってはい?チョコ?

「え、え?まさか、これ…」

お返し?
頭に浮かんだひとつの可能性にさらに俺は困惑する。

だってまさか、あのマスルールが。
お返しなんて気の利いたことをするところなんて、今まで一度も見たことないのに。

「………いらないんなら俺が食います」

ありえない…と唖然としていた俺の表情を見て何を言いたいのかわかったのか、マスルールはいつも以上にむっすりした顔でチョコを自分の方に引き戻す。
それを見て焦った俺は慌ててチョコを掴んだ。

「いるいるいる!いるってば!!」

信じられなかっただけで別にいらないとは言ってない。
必死になってマスルールからチョコをもらう(というか奪い取る)ともう取られないように大事に抱き込んだ。

「その、お返しもらえると思ってなかったから……えーっと………ありがと、な」
「…………いえ」
「嬉しい、」

段々と恥ずかしくなってきて、俯きながらそう伝えると急に抱きしめられた。

今日はつくづくありえないことが起こる日だな…と思うものの体は正直なもので、俺もマスルールの首に腕を回して抱きつき返す。

幸せってこんな感じなんだろうか、だなんて柄にもないことを思いながら。

たまにはこんな日もいいもんだ。



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