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  人斬り光と町医者謙也


血の匂いを辿ってついた先にいたのは、ぐったりと壁に寄りかかるようにして座り込んでいる俺と同じくらいの歳の青年。漆黒の髪に翡翠の瞳をしたそれはそれは綺麗な容姿をした侍だった。

思わず見とれてしまったが、ぼーっとする暇もなく鼻にきつい血の匂いが漂ってくる。夜目を凝らして見てみると、その侍が着ている上等なものであろう紺色の着物は血でべっとりと汚れていた。

「ちょっ…ひどい出血やんか…!手当てせんと…!」
「……んなや…」
「え?」
「俺に、触んなや…!」

しゃがみこんで、傷の具合を見る為に触ろうとすると、それまで俺に対してピクリとも反応を見せなかったそいつが物凄い殺気を放ちながらこちらを睨んできた。
一瞬その鋭い眼光に怯んでしまったが、俺だって負けられへん。
俺は医者や。苦しんでる人が居ったらどんな奴でも助けへんとあかんのや。それが、俺が選んだ道なのだから。

「手当てせんとお前死ぬやろ!止血だけでもせな…!」
「…っやめろ言うとるやろ!俺に関わるとろくなことな…」
「喧しい!つべこべ言わんととりあえず家に来い!!ほら、おぶったるから!荷物はないな!?」
「はっ…!?ちょお待てや…!お前なに言うて……おわっ!?」
「よっしゃ、ほな行くで!」
「…っおいこら!ちょお待て、おいっ…!!」



ブチ切る。


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