note

  剣奴マスルールと王族シャルルカン


※マスルール出て来ない


レーム帝国には後学の為だとかなんとか言われて、半端無理矢理連れてこられた。
調印なんて、まだ王位を継承してない俺には無関係だと言うのに、最近の父上は自分が老いてきたことに焦っているのか、俺を妙に政治に関わらせようとしてくる。まだ元服したばかりの王子に何を期待しているのか、俺にはさっぱり理解できない。というか、今さら期待などされても困る。こっちからしたらありがた迷惑も甚だしい。

「はぁ…」

俺は深い溜め息をひとつ吐いた。
ちなみ今は従者らと一緒にレームの町を練り歩いている最中だ。
「レームについて、色々学んでくると良い」と言われて父上と別れたのだが、要は俺が邪魔なんだろう。まったく、本当に何をしに遠路遥々ここまで来たのかわかったもんじゃない。
何だか嫌気がさしてきて、俺はもう一度深く溜め息をつこうとした。だが、それは不意に聞こえてきた凄まじい歓声に打ち消された。
びっくりして辺りを見回すと数メートル先に、周りの建物とは明らかに作りの違う大きな建物。
何でこんな町のど真ん中に。

「なぁ、あれはなんだ?」

その建物を指さしながら案内役として一緒に来ていたレームの者に尋ねる。

「あれは闘技場でございます」
「闘技場?」
「はい。剣闘士同士が闘う、レームで流行っている格闘競技を行う場所になっております」

なるほど、あれがか。

噂では聞いたことがあった。どちらかが降参するか、場合によっては死ぬまで闘い続けるという大分残酷な内容の格闘競技がレーム大陸で流行っているということを。

「見ていかれますか?」
「ん…ああ、そうだな。少し見ていこうか」
「承知しました」

俺の様子を見てか、使いの者がそう尋ねてきた。やることも特にないし、実際どんな感じなのかも見てみたかったので、俺も行く意を示す。
レームの者に連れられて、俺は闘技場へと歩みを進めた。



prev next

[back]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -