キスマーク


「うちの岡崎、こっち系なんッスよ」
「えっ、そうなん!?」
「違いますよ!」
「岡崎会っつって若手のやつらと飲みに行って脱がせるとかって…」
「お前なんしとんねん」
「ちが、ノリですよ?そんな下心ないッスよ、ちゃんと女の方が好きです」
「メンバー言ってみ」
「ブチデラ加藤、パルマ相澤、チューインガム木名瀬、獅子の宇佐美」
「ガチやないか」
テレビに先輩のアラマラの二人が出ていた。
アラマラの岡崎さんにはよくしてもらっていて岡崎会という飲み会にも誘ってもらったりする。
酔いの勢いで裸になったりもするが、今テレビで話してたのはネタであって、本当に下心があるとは思えない。
俺は素直に笑っていた。
下に俺の写真が出たのもひそかに嬉しいし。
だけど隣にいる奴は違った。

「お前岡崎会とか大丈夫なの」
岡崎さんの相方錦さんの話を完全に鵜呑みにしているばかがいる。瀬戸だ。
「なにがだよ…」
「襲われたりすんじゃねーの?」
「お前が言える立場じゃねーだろ」
岡崎さんに襲われたことはないし、瀬戸が襲いかかってきたのは数回。
よっぽど瀬戸の方がたちが悪い。
「大体あんなのネタだろーが。何年芸人やってんだよ、わかれよ」
「いやわかってないのはウサだろ」
瀬戸が真剣な顔で見つめてくる。
あ、なんかやばい。
俺は身の危険を感じて瀬戸と距離を離したが獣がか弱いウサギを捕まえるかのようにガバッと襲いかかってきた。
「襲われないように印つけとかないと!」
「襲ってんのはオメーだバカッ、んぁっ」
服を引き剥がされ身体中に瀬戸がキスをする。あちこちを強く吸われてるのがわかる。
「おいっ痕つけんなっ」
瀬戸の髪の毛を思いきり掴む。瀬戸は離れたけど今度は俺の耳の中に舌を入れ出した。
「ひっあぁっバカっやめろっ」
こいつは、なんだかんだ言ってただヤりたかっただけに違いない。くそ。
「あっあっバカぁっんぁああっ」


テレビで見てすぐ岡崎会の飲み会があった。
瀬戸は心配だのなんだの言ってたけど俺は普通に出席した。あんなのはネタでしかないからだ。
岡崎さんは今日の収録が上手くいったらしくごきげんだ。
俺の隣でビールを浴びるように飲んでいた。
周りも酔いが回り脱ぎ出すやつらも出始めた。
「ほらウサも脱げ」
自らも上半身裸になった岡崎さんが俺の背中を叩く。
「いや、俺は…」
脱げるはずがなかった。瀬戸につけられた痕があるんだから。
「なに照れとんのじゃ今更!」
岡崎さんが豪快に笑いながら俺の服に手をかける。
「いや、あの、ほんと…っ、」
周りに助けを求める視線を送るが皆裸でわけのわからない一発芸なんかをやったりして夢中になって、俺と岡崎さんなんか目に入らないようだった、岡崎会なのに。
「だめ…っ」
思いきり捲りあげられた。岡崎さんは目を丸くした。俺は、身体中が本当に熱くなるほど顔が真っ赤になった。
「ウサ、お前…」
「あの、ち…違うんです…これはその、」
身体中についた痕。瀬戸がつけただなんてまさか思わないだろうけど、なんだかばれてしまう気がした。
言い訳も思い付かない。風俗で?プロがキスマークなんか客につけるか?
ぐるぐる頭の中をしょうもない言い訳で巡らせていると、ガッシャァアアンと大きな音がした。
見れば裸になっていた他の芸人が悪酔いして倒れ、机の上のグラスや皿を倒したらしかった。
「なにやっとんじゃお前ら!」
岡崎さんが俺の服から手を離しそいつらの傍に駆け寄っていった。
音を聞き付けた店員に謝りながら倒れた奴にも何か言っている。
俺はこの隙にとんずらしたかったけども、さすがにこんな状況で帰るわけにもいかないので、とりあえずこっそりトイレへ逃げた。

皆酔っぱらっているせいで、俺を探しにくる人はいなかった。このままタイミングを見て挨拶だけして帰ろうか。
明日収録が早いとかてきとーに言ったら、上手いこと帰れるんじゃないだろうか。岡崎会のメンバーならわかってくれるだろう。
ただ岡崎さんは、俺の痕のことを、どう思っているんだろうか。
「うぉええええ、ゲップ」
そんなことを考えていると、ゲップをしながら岡崎さんが入ってきた。
なんで個室に隠れなかったんだろう、と手洗い場の鏡の前で突っ立ってた自分に後悔したが、岡崎さんは顔を真っ赤にしながらふらふら。この分だと俺の痕のことなど、忘れていそうだった。
「なんやウサ、お前、ここにおったんか」
「あ、はい。すいません」
「ちゃんと飲んどんか?オェエ、飲めよちゃんと!」
喉を鳴らしながら岡崎さんは個室へ入っていく。俺はてきとーに相槌をうって飲みの席に戻ろうとした。
「おぉーいウサ!ウサおい!」
「はい?」
呼ばれて足を止める。
「チャックが下ろせへん!手伝ってくれ!」
「…………なにやってんすか」
俺はむきをかえ岡崎さんが入った個室へ入った。一応鍵をかける。
すると後ろからがっちりと抱き締められた。
「え!?」
「なんやウサ…お前油断しすぎとちゃうか?」
耳元で言われたその口調は落ち着いたものだった。酔っぱらっているような声ではない。
「お、岡崎さん…!?」
酔っぱらっている、演技だったのだろうか。
岡崎さんの腕から逃れようともがいても岡崎さんと俺の体格の差じゃまったくびくともしない。自分の力の弱さに泣きそうだ。
逃れるどころかまた岡崎さんの手が俺の服を捲り上げる。
「エロい体しとんなぁ…え?これ女とちゃうやろ」
岡崎さんの指が痕をなぞるように肌を滑っていく。
「ちょ、やめてください…っ」
「この乳首がエロすぎや」
「ふあっ」
きゅっ、と岡崎さんの指で摘ままれる。体がびくんと跳ねた。
「お、なんや、感じるんか?」
岡崎さんは楽しそうに俺の両乳首をくにくに潰したりつねったりする。
俺はその度に体がびくびく反応して変な声がいっぱい出た。
「ひゃっあっあっ!あんっ!ひっ!だめっ!岡崎さんだめですっ!」
身を捩るが余計に乳首に岡崎さんの指が擦れて逃げられない。
後輩の田辺に弄られて初めて気づいたが、やっぱり俺は乳首が弱いらしい。男なのに最悪だ。こんなの誰にも知られたくないのに。
「岡崎さんっ、岡崎さんやめてください…っあひぃっ!」
「安心してや。食べたりせぇへん。俺がホモってのはほんまにネタやからな」
「はぁんっ、じゃ、なん、でぇ…っ」
「顔のええ奴いじめんのが好きなだけや」
岡崎さんはそう言って笑うと俺の乳首を思いきりつねった。
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
声にならない声が出た。背が仰け反る。涎が垂れた。後ろで岡崎さんの笑い声がする。
「はぁっ、はっ、やめ…っ、乳首取れちゃう…っ」
「ウサお前すごいな。乳首いじめただけでパンパンやないか」
岡崎さんの手がジーパン越しに俺のちんこを撫でる。確かに俺のちんこはビンビンに勃起してて、ジーパンに押さえられてて痛いくらいだった。
「岡崎さん、はぁ…っ、ちんこ痛いぃ…っ」
「んー?そうか、どれ、」
岡崎さんが俺のジーパンのチャックを下ろそうとしたところで、トイレのドアが開いた。
「おーいウサ!気分悪いんか?大丈夫か?」
岡崎会のメンバー、木名瀬さんだ。
俺と岡崎さんがいる個室の前までパタパタと足音をたてて来た。
「だ、大丈夫です…」
「お前ずっと戻ってけぇへんから…迎え呼んどいたで今日は帰りや。もう店の前来とるで」
「あ、ありがとうございます…、す、すぐ行きます」
どうやら木名瀬さんは俺がいないことに気付いていたらしい。それに迎えまで…超いい人…。
「それより岡崎さんどこ行ったんやろ。また違うお客さんとこに乱入しとんやろか」
ここに岡崎さんがいることも気付かずに、木名瀬さんはそう言いながらトイレから出て行った。
「ふん、迎えか。邪魔入ったなぁ、ウサ」
そう笑いながら言う岡崎さんの手が離れていく。
「まぁまた今度いじめたるからな」
にやりと笑う岡崎さん。俺は挨拶だけすると、急いで個室から飛び出した。


てっきり迎えは相方の吉田が来てくれたのだと思っていたが、店の前で待っていたのは瀬戸だった。
「吉田が連絡つかへんくて、瀬戸呼んだんや。確か仲良かったよな?気ぃつけて帰れよー」
木名瀬さんの痛み入る気遣いのおかげで俺は岡崎さんのいたずらから逃れられ、無事…ではないが瀬戸の車に乗せられた。
「噂の岡崎会か…見た感じ木名瀬さんがいるから大丈夫そうだな…」
瀬戸は運転しながらそんなことを呟いている。
「それより大丈夫か?気分悪くなるまで飲むなんて珍しいな…」
信号待ちになった時に瀬戸が俺の方を向く。俺は大丈夫、と言いたいところだが大丈夫じゃなかった。ちんこが。
岡崎さんに体を弄られて、なんて言ったら瀬戸は岡崎会を大批判してとにかくうるさいことになるに違いないが、さんざん乳首を弄られた俺の体は完全に出来上がってしまっていて、服でかろうじて隠れてはいるがちんこはまだパンパンなのだ。
「はぁ…っ、瀬戸…っ」
「どした?気持ち悪いか?」
「イ…、イキたいぃ…っ」
「…………へっ?」
目が丸くなる瀬戸。そりゃそうだろう。瀬戸から何回か襲われたことはあるが俺から誘ったことはない。てかべつに誘ってるわけじゃないんだけど、まさか俺がそんなことを言い出すなんて、瀬戸は想像もしていないだろう。
「も、くるしい…っ」
俺はシャツを捲り上げてジーパンのチャックを下ろした。下着からビンビンのちんこが出てきた。
「ちょ、ウサ…」
「瀬戸…っ、ちんこ、触って…っ」
「えっ!?ちょ、えっ?!」
動揺する瀬戸。俺自身、自分の言葉に動揺する。まさかこんな恥ずかしい言葉を瀬戸なんかに言うなんて。
だけど瀬戸の前で自分でするのも恥ずかしいわけで、俺的には行動より言葉の方がまだマシな気がしたのだ。
瀬戸は戸惑いながらも俺のちんこに手を伸ばす。
あとちょっとで瀬戸の大きい手が俺のちんこをグチュグチュに扱いてくれる…って時に後ろからクラクションを鳴らされた。
信号が青になっていた。
瀬戸は俺のちんこに伸ばしていた手をハンドルに戻した。
「ひん…っ瀬戸っ、はやく…っ」
「ちょ、ちょっと待ってなっ。先に自分でシてて」
「やっ、瀬戸がシてっ…瀬戸がいい…っ」
「っ…どっか停まるからもうちょい我慢なっ」
瀬戸はそう言って近くの公園に車を停めた。
昼間はいっぱい車がある駐車場も、夜だとがらんとしている。
目立つといけないので、街灯から離れた場所に隠れるように瀬戸は停めてくれた。
「はぁ…っはぁ…っ瀬戸っはやく…っ!」
「ウサ…まじ今日どうしたんだよ…」
瀬戸はそう言いながらも俺のちんこを扱いてくれた。
「はぁあんっ」
焦らしに焦らされた俺のちんこは我慢汁でぐちょぐちょだった。
瀬戸が擦り上げる度にいやらしい水音が車内に響く。
「あっあっ瀬戸っあんっちんこっ、ちんこ気持ちいい…っ!」
グチュグチュヌチュヌチャクチュクチュ
「すごい濡れてる…まさか岡崎さんになんかされたわけ?」
「あひっひぃんっ瀬戸っ瀬戸っはぁんっちんこっちんこいいっ」
瀬戸が詮索するけど答えられなかった。ばれたくないのもあるけど、それより今は放置されてたちんこがただただ気持ちよくて。
「…俺は心配してるんだけどな、ウサ」
「ひぁあんっあっはぁっあっあっ出るっ出るっイクっイクぅう…っ!あぁあんっ」
ビュルッビュルルルッビュルッ
俺はあっけなく瀬戸の手に射精した。体がびくびく跳ねた。張りつめていたものから解放された感じが、たまらなく気持ち良かった。
荒く息を吐いてシートにもたれ掛かる俺の横で、瀬戸はティッシュで俺の精液を拭いてから、カチャカチャとベルトをはずしだした。
「ウサ、俺も…出したい」
瀬戸のちんこもさっきまでの俺みたいにビンビンになっていた。
普段は襲われてる身。瀬戸になにかしてあげてるわけじゃないが、今日は俺から頼んでしまったわけだから断るに断れない。今度は俺が瀬戸のちんこに手を伸ばす。
「あのさ…できたら口でシてくんない…?」
「えっ…く、口…?」
まさかのリクエストがきた。俺は今まで瀬戸に好き放題させられる身だったのだ。口どころか手でさえシたことないのに。
いつもなら「いい加減にしろ」と言えば終わるのだが今日はそんなわけにはいかなかった。
「…今日だけ…なら…」


「ふあぁんっあんっあっあっあぁあんっ瀬戸ぉっ!はぁっあはぁんっ!」
「ウサ、ぐちょぐちょだよ。外だから興奮してんの?」
口で抜いてから、俺と瀬戸は車から出て外でシていた。
これも瀬戸のリクエストだ。
夜の公園なんて誰もいないとはいえ、こんなところでちんこをハメられるなんて…。
だけど瀬戸の車を精液や我慢汁で汚すわけにもいかなくて、俺は押しに負けてしまった。
べつにわざわざ公園のベンチなんかに来なくても、車の陰でしたら良かったんじゃないか、と気づいた時にはもう遅い。
俺はベンチでM字開脚なんかさせられているわけだ。
グチョッヌヂュッパチュッグチュッグチュッ
下から突き上げられて俺の声は公園に響き渡っているんじゃないかってくらい漏れる。
「あはぁっあんっあぁんっやっ、あはぁんっやっぱ、あぁんっ恥ずかしい…っひゃあんっ」
「そうだなー。週刊誌とかに撮られたりするかもなー」
瀬戸はのんきに言う。
有り得なくもない話だ。
「やっやだっ撮られちゃだめ…っひぁあんっあっあぁぁんっもうグチュグチュいやぁっ」
瀬戸のちんこを抜こうと腰を上げるが、押さえられてしまう。
さっきよりも激しく突き上げられて、俺のちんこはぶるんぶるん揺れた。
「こんな大きく脚開いてグチュグチュのちんこ丸見えな写真が週刊誌にのったらどーする?」
「やっやだやだっちんこ載せちゃだめっこんなのだめぇっあぁあっもっやめっ瀬戸ぉっあっあぁっ」
「早く終わらせたいならウサも腰振って早くイカせて」
おとなしく言いなりになっていれば、瀬戸は調子に乗ってそんなことを言い出す。
だけど俺は誰かに見られてしまう前に早く終わらせたい一心で、瀬戸の言う通り腰を動かした。
グチュグチュジュポッジュポッヌヂュッパチュッパチュンッ
「かわいいウサ」
「あぁあんっバカっ瀬戸のバカぁっはぁあんっやんっあぁっあんっ」
「ウサ、ウサ…っ」
「あっひぁっもっ俺っはぁっイクっイクっ瀬戸もイッてぇ…っ」
「っ、は、俺も、…イク…っ」
ビュルッビュルッドピュドピュッドピュッ
「あはっあぁ…っ中ぁ…出てる…っひゃぁあ…っ」
瀬戸の精液は俺の中で受け止められ、俺の精液は地面に飛び散っていた。


くたくたになった俺は瀬戸に家まで送ってもらい、疲れながらもシャワーを浴びた。
瀬戸は俺が寝るまで心配だとか言って居座っていた。
「今日は迎えどうも…」
結局外でヤるはめになったのでどうも素直に礼は言いにくいがそこは礼儀としてちゃんと言った。
まぁあのタイミングで瀬戸が来てくれなかったら、俺は岡崎さんに何されてたかわからなかったし。
一番は気遣ってくれた木名瀬さんのおかげだけど。
瀬戸は勝手に読んでいた俺の雑誌を置いてソファから腰をあげた。
「で、岡崎会でなにがあったわけ」
さっさと帰るかと思いきや瀬戸は話をぶり返した。
「いや…なんもないけど…」
「なんもないのにウサはちんこ勃つわけ?」
はいはいそうですよ、と軽くあしらいたいとこだが内容が内容だけに出来ない。
「だから俺は岡崎会なんか行くなって言ったのに」
「あのなぁ、もとはと言えばお前がバカみたいにキスマークつけるからこんなことになったんだ」
岡崎さんが俺の乳首をいじくり回したのは確かにネタの限度は越えていたが、べつに今までは俺の裸を見たところで何もなかったんだ。
瀬戸が痕をつけたせいで、岡崎さんがいらん欲情というか、S心を目覚めさせたというか。
今後もあんなことになるのは困るけど、今までお世話になってきた岡崎さんと関わらないわけにはいかないし岡崎会から抜けるわけにもいかない。
「ふざけて触られたりしただけなんだよ。べつになにもなかったから」
瀬戸は腑に落ちない表情で、何か言いかけたが開いていた口を閉じた。
そしてどこからともなくマジックペンを取り出して、俺の服を捲り上げた。
「キスマークがだめならもう名前書いとくわ」
「いい加減にしろ!」


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