恋人は天使


「黒川そっち結んで」
「お、おう」
掛布団カバーの中に潜り込んで、俺はカバーの紐を掛布団の輪に結びつけた。
反対側で瀬名もしている。
結び終えて瀬名の方を見ると、瀬名もこっちを見ていた。
にっこり笑った顔は、やはり天使である。
しかもこのシチュエーション…カバーの中で見つめ合うこの感じ…幸せ。
「できた?」
「うん」
「ありがと」
瀬名は少し身を寄せて、キスをした。
な、なんだこれは。
なんだこの幸せはーーーーーーーー!!!!!


事の経緯は、八時間前。
瀬名の一言から始まった。

「俺と付き合って」
瀬名は真剣な顔で言った。
宇宙規模でかっこよくかわいく素敵なイケメンの瀬名に片想いをしていつも襲いかかっていたのは俺の方だったのだが、なぜか瀬名の方が俺に告白をしてきたのだ。
俺は制止した。
わけがわからなかったのだ。俺から瀬名に言うことはあってもまさか瀬名の方から言ってくるとは、誰も思わなかったはず!!!!そうでしょう皆さん!こんなフツメンに見せかけた根暗!誰が好きになるんですか!!
「ま、まじで言ってんの…?」
俺の声は震えていた。カッスカスだった。
「うん」
頷く瀬名。俺は息を飲んだ。心臓がバクバク鳴っている。
「せ、瀬名は…俺のこと好きなの…?」
瀬名は笑った。可愛かった。
「うん。好き」
「……っ」
「大好き」
あーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!
神様ぁぁぁぁああああ!!!!!
俺は耐えられなくなって身を起こし瀬名を押し倒した。
「おっ俺もっ!瀬名が好きだ!」
俺を見上げる瀬名は本当に天使なのではないか?ってくらいの笑顔をしている。俺は照れて禿げ上がりそうなほど体が熱い。
「それは、知ってる」
瀬名は俺の首に腕を回した。
「で、返事は?」
に、っと口の端を上げていたずらっぽく笑う瀬名。笑窪が愛しいぜ!
「喜んで!」

俺たちはそのあと、初めて恋人同士としてエッチをした。
やっぱり今までとは違った。
正直瀬名は何を考えているのかわからなかったから、瀬名が俺のことを好きでいてくれていることがわかってからは、もう興奮が止まらなかった。体が熱くて熱くて仕方がなかった。

「じゃ、じゃあさ!名前で呼んでくれる?」
「いいよ」
憧れの名前呼びをお願いする。瀬名は快く引き受けた。ドキドキする俺。
「でも、黒川の名前ってなんだっけ?」
「………………」
あの日の思い出がフラッシュバックした。瀬名!俺のこと好きなのに名前まだ知らないの!?どういうことやねん!
絶句する俺に瀬名は笑いながら顔を寄せた。
「ごめんウソ。け、い、じ」
「〜〜っ」
ドピュッと精液が飛び出した。
どっちと言わなくてもわかるだろう。俺からだ。俺は瀬名に名前を呼ばれて何もしていなかったちんこから精液を出してしまったのだ。
まじかーーーーーーー!!!!
瀬名は一瞬びっくりしていたが、すぐ笑った。しかも声に出して。
「だめなちんこ」
「ご、ごめん…」
「やっぱいきなり名前はやめとこーな」
「ソウデスネ…」
この珍事件のせいで、俺の憧れの名前呼びは叶わず、しばらく呼び方は今のままとなった。
どういうつもりなんだよ、俺のちんこ。俺も瀬名のこと、下の名前で龍二って呼びたかったのに…。おあずけか…。

と、まぁこういった理由で俺たちは見たままだと何も変わっていないように見えるが、晴れて恋人となった。お互いの間にはハートが浮かんでいるというわけである。
何て幸せなんだろうか。幸せってむしろ恐ろしい気さえしてくる。

ちなみに布団カバーは精液で汚してしまった従兄弟の満くんのカバーである。
俺たちは散々エッチしてから、カバーもシーツも急いで取り外して洗濯をした。奇跡的に瀬名の家には乾燥機があったので、乾かして今に至るわけである。もう朝だけど幸せ真っ最中な俺は、全然元気だ。

「なんでそんなに元気なんだよ」
大学は休みだから寝ようと瀬名とベッドに入ったら、俺はまた興奮してしまってちんこをおっ勃ててしまった。
それに気付いた瀬名は笑う。
「俺、もう出ないよ」
一晩中エッチして射精しまくったのだ。そりゃそうだった。瀬名が普通だ。
なのに俺のちんこときたら、瀬名よりもビュービュー出してるくせにまだ元気だなんて。恐ろしすぎる。
「寝る前に…もう一回だけお願い…」
恋人同士になったからこそ出来るお願い!俺は布団の中で、瀬名を抱き寄せた。あーいい匂い。
「ちゃんと一回で我慢出来る?」
「う、うん」
瀬名はなんて優しいのか!こんな俺のだめなちんこに付き合ってくれるなんて!本当にいい子!
俺は瀬名の耳を甘噛みした。
「ん…っ」
瀬名がピクリと反応する。
舌を這わせると耳朶に冷たさを感じる。ピアスだ。
「これ取ってもいい?」
「だめ」
瀬名はピアスを触る俺の手を握る。
「弱いから」
そんなこと言われたら攻めてあげるのが男ってもんだが、俺のちんこはそんな余裕もないので耳をいじめるのはまたの機会にすることにした。
瀬名の体も舐めたり撫でたりしたいところだが。
「余裕ないんですよね…」
「わかってるよ」
瀬名は笑う。なんかこの天使の心も体も俺のものになったのが恐ろしい。
エッチだけが全てじゃないけど、瀬名と一つになれるってことはとても素晴らしいことだ。人生の中のピークを俺は迎えているのだ。
瀬名の穴にちんこを入れた。一晩中してたせいか、すんなり入る。
瀬名の緊張した顔が、まじでたまらん。
俺はすぐイかないようにゆっくりめで動いた。
「あ、あっ、んん…、んぁ…っ」
ちんこが出入りする度に瀬名は声を漏らす。めっちゃ可愛い。
「瀬名、」
顔を寄せると瀬名からキスをしてくれる。やばい。これはやばい。
少しだけ早く揺さぶると、瀬名はものすごい近さで見つめて喘いでくれる。
「あっあっあっんっんっ、ぁん」
しかし悲しいことに、瀬名のちんこは勃起していない。萎えている。ふにふにの状態で弾みで揺れてるちんこもなかなかエロいけども。
「あっあっ黒川ぁ…っ、んんっなんか変な感じ…っ」
瀬名も快感は感じているのにやはり勃たないことに違和感があるようだ。
「あっ、あーー…っあぅっううんっ」
瀬名がシーツを握って耐えている。火照る顔さえもセクシーだ。
俺はさすがの早漏なので、早くも出したくなってきた。
俺は体勢を変えた。瀬名をちんぐり返しさせてから腰を振った。
「ぁんっあっ、あぁっあっぁんんっ」
「瀬名、俺、もう…っ」
「あっあっんぁあっもっ、やば…っ」
瀬名はきりっとした眉毛を寄せてうるるとした目で俺を見る。やめてーっそんな感じてる顔で見ないでー!すぐにイッちゃうからー!
「あっあっあんっあんっあん」
ぐちゅっぬじゅっぬちゅっぐちゅぐちゅっ
「やっ、なんか…っあんっだめ…!来ちゃう…っ」
「瀬名、イク…!」
俺は早くも射精した。量は少なかったけどやっぱり出た。
瀬名はというとぎゅっと目を瞑っていた。
「〜〜〜…っ!」
そして声にはならない声を吐き出して、中をきゅうきゅう締め付けて体をビクビクさせていた。
「瀬名…?」
「はぁ…っ、はぁ……っ」
瀬名は力を抜くと荒く息を吐いた。
目元が少し濡れている。
ちんこを抜いて、瀬名の顔を覗き込んだ。ちょっとしかしてないのに、汗をかいている。俺は濡れている瀬名の前髪をそっとかきあげた。
「大丈夫…?や、やりすぎた…?」
「…出てないのにイッちゃった」
瀬名はぼうっとした表情で言った。赤い頬が可愛い。
てか出さないでイッただと…?空イキってやつ?
「あー…チカチカした…」
瀬名はゆっくりと身を起こす。
結構だるそう。やっぱり俺、昨日の夜から盛りすぎたや。
「ご、ごめん」
謝ると瀬名は微笑を浮かべた。
「いいよ」
そしてまた、柔らかい唇が俺の唇へと重なる。
瀬名って、キスするの好きなだろうか。事あるごとにしてくれるので、俺はとっても嬉しい。
「…寝よっか」

俺たちはようやく布団に潜り、眠りについた。
幸せいっぱいですぐ寝れた。

しかし。


『なんでお兄と付き合っちゃったの』
夢に出てきたのは、満くん。
悲しそうな顔で、満くんは俺に言った。
俺は飛び起きた。

「…………」
瀬名と付き合ったのはいいが、実際のところ、まだ問題は残っているようだ…。


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