真木



真木の乳首に吸いつく社員は、真木にペニスを扱かれて至福の表情を浮かべた。
「あぁーっ真木さんっちゅっちゅぱっ真木さぁんっ!」
「ふふ、ほら、嫌なことぜーんぶ吐き出して。よしよし、よしよし」
真木に頭とペニスを撫でられて、社員は腰をうねうねさせながら大量に射精した。
「真木さぁん、俺、明日も仕事頑張るよぉ」
「うふふ、良かったぁ。次は企画成功させて、お祝いセックスしようね」

真木はいつも社員の甘えを笑顔で受け止めていた。
そんな聖母のような真木も、一人の人間である。
優しさの反面、嫉妬を抱くことだってあるし、真木自身が甘えたくなる時もある。
しかしそんな姿を知っているのは、社内でも一人だけだった。


人事課の有村は、仮眠室に呼び出されて一人待っていた。
約束の時間ちょうどになると、仮眠室の扉が静かに開く。
有村は扉の方へ振り返り、少しずれた眼鏡を直した。
「いきなり呼び出して何の用かな、真木くん」
真木はいつもの笑顔を隠しながら、仮眠室の扉の鍵をそっと掛ける。
その音に気付いた有村は真木から目をそらし、窓の外を見た。
「僕は忙しいんだ。最近青樹くんが辞めただろう。処理課員を増やせと上から煩く言われててね。話は手短に頼むよ」
真木は有村に歩み寄る。
何も言わずに近寄ってくるので、有村は窓の外からまた真木の方を見た。
「何も話すことがないなら戻らせてもらうよ」
「どうして亮ちゃんに処理してもらったの?」
真木は珍しく眉間に皺を寄せ難しい表情をしていた。
有村は小さく息を吐く。
処理課を使って性欲処理をしない有村が、最近珍しく秦の相手をした。真木が言っているのはそのことだと、有村はすぐに気付く。
「人事から説教を受けた秦くんが、反省と決意の意味も込めて相手をしたいと申し出たからだ。それ以外に理由はない」
真木はその理由に納得をしなかった。
もう一歩有村に歩み寄る。
「だからってなんでするの?処理課は利用しないって約束でしょ」
「性欲処理が目的ではなく彼のやる気を見る時間だ。処理ではない」
真木は有村のネクタイを掴むと、ぐっと引っ張った。
目の前まできた有村の顔を強い目で見つめる。
「中に出したんなら一緒でしょ。下手な言い訳しないで」
「君がなんで怒ってるのかわからないな。君だって今日僕に会う前に社員の相手をしてきたろう」
「亮ちゃんだけずるいって言ってるの」
真木はそう言って、有村に口付けた。
「ん、」
強引に入り込んでくる真木の舌に、有村は控えめに舌を絡めた。
キスの合間にされる短い息継ぎと、濡れた唇や舌が交わされる音がする。
有村は真木の頬を撫でた。
そして顎に指を添えて、無理矢理真木から顔を離しキスを中断する。
「こら…。仕事中だ」
「ね、お願い。真木だって会社で抱かれてみたいの」
真木は有村の首に腕を回した。
そして自分の方に引き寄せながら一歩二歩下がり、有村ごとベッドになだれ込む。
「わ、」
真木の上に覆い被さりながら、有村は反動でずれた眼鏡を直す。
すると、真木が欲情した目で真っ直ぐ見つめてくるのが、しっかり確認できた。
「…家に帰ったらにしよう。会社ではしない」
「お願い、一回だけ。真木がわがまま言えるの、政秋さんしかいないの」
「…会社では名前で呼ばない約束だろ」
「誰も聞いてないよ」
「ならその変な一人称もやめたらどうだい」
「ひどーい」
真木はふくれた真似をしてから、無邪気に笑った。
「ねぇ、早く僕を甘えさせて」
有村はとうとう折れて、自分から真木にキスをした。


有村と真木は交際していた。
しかし真木のことを支えに頑張っている社員たちがそれを知ってしまった時の仕事への影響が凄まじいものになるため、ひた隠しにしている。
また、有村が真木を使って処理をすることは、会社の規約的にはなんの問題も無いのだが、私情を挟むことになるという理由で、会社では体を交えないことにしていた。
これは有村の意見であり、真木からすると、たまには私情くらい挟んでもいいのに、という考えだった。
そんな中有村の意見に乗るのだから、ならば他の処理課員にも手を出すなよ、という条件を真木は出したのだ。
それが秦の一件でグレーゾーンではあるが崩れかけたため、真木はここぞとばかりに憧れの社内セックスを試みたのだ。


「あっ…あんっあぁんっ政秋さん…っ、いつもよりおっきい…っ、はぁ…っ、興奮してるの…?」
「どうかな」
有村は真木のアナルにハメながら、ゆっくりゆっくり腰を動かした。
真木は下から駆けめぐる温かい快感に頬を紅潮させる。
「んんー…っ、はぁっ、あぁん、あんっ」
「晋介、」
有村は真木の名前を呟いてから、甘い声を出す口を塞ぐ。
「ん、ん…っ、んぁ」
唇の柔らかさを何度も確認するように重ね、離れると同時に真木は瞑っていた目を開く。
「下の名前で呼ばないで…」
真木は少し困った顔をしながら有村を見つめた。
「君だって僕のこと呼んでるだろ」
「似合わないから好きじゃないの」
有村は小さく笑って、中をゆっくり掻き回すように腰を動かしながら、真木の首筋に吸いつく。
シャンプーの良い香りが有村の鼻の奥へすんと入り込んだ。
「確かに君は綺麗で中性的だけど」
「あっ、ん…はぁ…っ」
「もっと似合わないものが付いてるだろ」
有村はそう言って真木のペニスに触れた。
「あぁっ!」
真木はペニスの先を弄られてびくんっと跳ねた。
有村は身を捩る真木の肌にキスをしながら、ペニスとアナルを同時に責める。
「自分は男だって、しっかり主張してる」
「やっぁんっ待って…、あんっんん、政秋さん…っあっあっそんなに弄っちゃだめぇ…っ」
「締めつけてるくせに、よく言う」
有村は腰を動かして、真木の弱いところを狙って突いた。
「やぁんっ」
真木はたたみかける快感に驚いた。
有村は容赦なく真木を責めまくる。
「あっあっやぁっ政秋さっあっあんっそこだめっあぁんっイッちゃうっすぐイッちゃうからぁ…っ!」
そう訴える真木に構わず、有村のペニスが真木の弱いところをごりゅっと抉る。
その瞬間、真木は背を反らしながら射精した。
「あっあぁっや、ぁん…っイッちゃたぁ…っ」
有村は自分の手の中に放たれた真木の精液を眺めた。
そしてそれを口元に運びぺろりと舐める。
「…、政秋さん…っ」
真木は熱い目で有村を見つめた。
「僕にも早く、政秋さんの精液ちょうだい…っ」
「…おいで、」
有村に呼ばれて、真木は身を起こして有村に抱きついた。
今度は対面座位で、真木の中を突く。
「んっはぁ…っ、ぁ、奥まで、ぁん…凄い…っ」
真木は有村のペニスに酔いしれながら、キスをしていく。
「はぁっ、ぁ…ん…っ、気持ちいい…いろーんな、おちんちん褒めてきたけど…っ、やっぱり政秋さんのが一番…っ」
有村は眼鏡の奥の目を冷たくした。
「そうやって皆に言ってることくらい、僕は知ってるよ」
「それは、ぁん、仕事だから…っ好きな人が一番に決まってるでしょ…っ」
「どうだか」
「ねぇ…、それって妬いてるの?だったらすごく嬉しいんだけど…」
真木はそう言って有村の耳を舐める。
「…さぁ」
有村は軽く流しながら、下から思い切り突き上げた。
「あんっ!」
まだ射精していない有村は、激しく真木の体を揺さぶる。
「あっあっあんっ!政秋さっあぁんっ!おちんちんすごいぃ…っあっあっあっ!」
真木はぎゅっと有村にしがみついた。
耳元で有村の息遣いがして頭がくらくらする。
「好きっ好きっ!政秋さんっあぁんっいっぱい出してぇ…!」
「っ…、ん、っ、はぁ…っ!」
真木が望む通り、有村は真木の中で射精した。
有村の熱い精液がどくどくと注がれる感覚に浸りながら、真木は悦んだ。
「あっ…ん、はぁ…っ最高、政秋さん…っ」
「…気は済んだかい」
有村はそう言ってずれた眼鏡を直す。
「…もう一回してくれる?」
真木の甘えに有村は目を細くする。
「仕事中だって言ってるだろ…」
有村はそう言って、真木を仰向けに寝かすとハメたままのペニスを抜いた。
とろりと中から精液が垂れる。
「えー、いいじゃない。僕が甘えるのなんて政秋さんだけなんだから、お願いくらい聞いてよ」
「最初に一回だけだって言ったのは君だ」
「あーあ、本当に真面目なんだから…」
有村はベッドから降りて、身なりを整える。
そんな姿を眺めながら、真木は残念そうな表情を浮かべた。
有村は緩んだネクタイを締め直してから、ベッドに腰掛けた。
そして真木の髪の毛を優しく撫でる。
「続きは帰ってからだな」
その言葉に真木の顔に笑顔が戻る。
「どれくらいしてくれるの?」
「君が満足するまでしてあげるさ」
「本当?」
真木は身を起こすと、有村に抱きついた。
「じゃあそれ楽しみに、仕事頑張るねっ」
交際を隠しているため誰も知らないが、いつも社員を褒めたり慰めたりしている真木自身の元気の源は、恋人の有村だった。
二人は軽くキスをすると、各々誰にも見つからないように少し時間をずらして仮眠室を出た。

「……………………」
有村は仕事に戻りながら、ふと真木のことを振り返る。
自分と性行為をしたが、自分と会う前にもおそらく誰かの処理はしてきているだろう。
そしてまた帰宅後存分に楽しむために、残りの時間誰かの処理を頑張る。
「…………さすが処理課だな…」

有村は単純に、真木の底知れぬ体力に尊敬の念を抱いた。

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