ライオンと眼鏡


以前付き合っていたあいつは、今も派手に遊んでいるらしい。
その様子はキャンパスや食堂にいるだけでもわかったし、目立ちすぎて噂もよく耳にした。
誰々と寝たとか二股をかけたとか、そういった噂ばかり。
よく俺と付き合っていた時に噂が流れなかったもんだ。おかげであいつと付き合っていたことはほとんどの人が知らない。
勉強して人に自慢出来るようなところで働く、漠然としているがそれを目標に中学から頑張り大学まで順調に進んできた俺には都合のいいことだ。
優等生で通っているのだからあんなチャラチャラした奴と一緒だなんて思われたくはなかった。
金髪のライオンみたいな長い髪をした、見た目からチャラいあいつ。
黒髪眼鏡の見た目から真面目な俺。
まず付き合えたことすら信じられない。
あいつは遊び人だから誰とでもあれこれするけど俺は違うのに。
なんでだろう。

久しぶりの会話はライオンからの電話だった。
「今日泊めてくんない?今から行くから」
なんで、という隙もなく切られてしまった電話の三十分後にライオンは来た。
来た理由は聞かなかった。
どうせアパートの電気を止められてるとか、終電がないとかそんなとこだろう。
ライオンは付き合っていた時のようにずかずかと勝手に上がり込み、冷蔵庫を開けコーラをラッパ飲みした。
「風呂入ったのか?」
「まだ。借りるよ」
ライオンは風呂場に向かいながら服を脱いでいった。落ちている服を拾い畳んでソファに置く。
付き合っていた時となにもかわらない。
今日は勉強するつもりだったけど、邪魔がいるからさっさと寝ることにした。

「……なんでお前がベッド使ってるんだよ」
トイレから戻ると、風呂から出たライオンがすでにベッドを占領していた。
遠慮という言葉を知らないらしい。
「お前はあっちで寝ろよ」
ソファを指差しながらライオンから掛布団を剥ぎ取る。
全裸だった。
「いやーん」
「なんで全裸なんだよ!!」
「だって着るもんないし」
ライオンはにたりと笑う。
「興奮した?」
「するわけないだろ!」
ずれた眼鏡を直す。笑ったままのライオンに腕を掴まれベッドへ引っ張られた。
「久しぶりにヤッちゃう?」
「はあ?」
反論する口にライオンの口が重なる。
ライオンの匂いがすっと近くになって、頭の奥からなんだか思い出に痺れるような感覚になった。


「あっ、んん、あっあっ」
ライオンが自身と俺のちんこをくっつけながら扱き上げる。大きな手で包まれた二人のちんこはビクビクと感じていて、クチュクチュといやらしい音がする。
久しぶりに人に刺激されると、やけに感じてしまう。
なんで前に付き合っていただけのチャラいこいつとセックスしなければいけないかがわからない。
だけど身体は正直で久しぶりの感覚と匂いと刺激を簡単に受け入れている。
我慢汁でベタベタになった指を、ライオンは俺の穴へと忍ばせてきた。
「ひ、あっ!」
くにくにと動きながら指が中へ入ってくる。俺は久しぶりの感覚に身を震わせた。
「久しぶりなのに入るね。もしかして一人でヤッたりしてた?」
「してねー!っんあぁっ」
ライオンの長い指がイイトコロを突く。びくんと反応する身体が憎い。
ライオンは指の数を増やして俺の中を掻き回す。クチクチと音がする。
イイトコロを最初に触っただけでそれからは全然触らないやり方。昔からそうだった。俺はそれに我慢できなくて、早く突いてほしくて口から涎垂らしながら懇願したこともあった。
「んんっ、はぁ、あー…ああっ」
ヌチ、と音がしてライオンの指が抜かれる。見上げるとライオンがウインクした。なんでだ。
「おねだりして」
「するかっ」
「ちぇ、残念」
そう言いながらライオンは、俺がおねだりもしていないのにすぐさまちんこを挿入してきた。
「ひぁっ!」
久しぶりに感じる重量感。ライオンは全部挿入すると、腰を振った。
「あぁんっあっあぁっあぁあん」
グチュヌヂュジュポジュポパチュン
「ひぁっらめっちんこだめ…っあぁあん」
身体を捻ると余計にちんこがイイトコロに擦れて声が漏れる。ライオンは俺の片足を持ち大きく開かせると、俺のちんこを扱きだした。
「あひっやらっあぁっあぁんっそれだめぇ」
クリュクリュクリュっグリグリグリ
ライオンが俺のイイトコロにちんこを当て続ける。俺はそれをされるとやばい。ライオンはそれを知っててわざとなんだけど。
「あはぁんっもっひぁぅんっらめぇ…っ奥ぅ奥らめぇっ!」
「はぁ、あー…やっぱお前とヤんのが一番好きだわ」
ライオンはそう言いながらグチュグチュ俺のイイトコロを突き上げる。
「何言って…っあはっんんっひああっ!」
「可愛い」
眼鏡を取られ、またキスされる。
ライオンが前に倒れ込む形になったせいでちんこがより奥に当たる。
俺はゾクゾクと体を震わせた。
「今さら、あんっなんだよバカぁっあぁっあぁあんっ」
「やっぱお前が好きだわ」
グチュヌヂュパチュンパンパンパンっ
「ひぁあっ、あんん、ふあっああっらめっちんこぉ先っぽクリュクリュらめぇっ」
指の腹でちんこの先を弄られ、中はイイトコロだけを集中的に突かれてすぐに射精感が沸く。
「あはぁんっもっイキそっイッちゃう…っイッちゃうぅっ!」
「俺も、イクっ」
「ああぁあんっ」
ビュルッビュービューッ
久しぶりの射精はものすごく勢いがよくて、腹どころか顔にまで飛んだ。
ドクドクと注がれるライオンの精液。
なにもかも、久しぶり。
「はぁん…っ」
終わったかと思うとどっと疲れが出た。ライオンの額にも、汗がうっすら浮いている。
ライオンはにこ、と笑ってまたキスをした。俺は目を閉じた。くちびるが柔らかかった。

「じゃ、勉強頑張ってねー」
次の日ライオンは玄関のドアを開けながら、そう言って出ていった。
俺は手も振らなかったが、頭の中は昨日の情事中のライオンの言葉がめぐりめぐっていた。
“やっぱお前が好きだわ”
何寝言を言っているんだろう、あのバカは。
遊び人の気持ちは、さっぱりわからない。


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