間宮


「あ、っ、んっ、はぁ…っ」
「はぁ…、キスが上手だね、薫」
藤里はペニスで間宮の中をぐちょぐちょ掻き回しながら、柔らかい唇を貪った。
「あ…、ん、っ、」
間宮は長い脚を藤里に絡めながら、背中が痛い、と思った。

先日、東雲が久遠に処理をしてもらったのだが、その現場を目撃した社員が噂を広め、藤里の耳にも届いてしまった。
それに気を悪くした藤里は、東雲の指名を一旦取り消し、代わりの処理を間宮にさせることにしたのだ。

東雲の代わりならば雪村や真木が適任かと思われたが、単に顔が好みだったらしく間宮が抜擢された。
間宮が思うような処理をさせてもらえるのならば特に問題はないのだが、藤里は間宮が普段騎乗位でしか処理しないことも知らないため好き勝手に間宮を使っていた。

いつも東雲を連れている藤里の隣に間宮がいることに、事情をよく知らない社員達は驚いた。
「今度は間宮なんだ、意外」
「あの間宮も専務の前じゃさすがにおとなしいみたいだな」
「おい、佐藤、いいのかー?」
「えっ、え?そうなんですか?」
間宮のことが気になっている営業部の佐藤は、藤里と間宮が一緒にいる現場を目撃して衝撃を受けた。
藤里が東雲を指名している時は、他の社員に一切触れさせなかったのだ。ならば今回の間宮も同じ事だろう。
佐藤はもう間宮に処理を頼むどころか話すことすら出来なくなってしまった事に寂しさを感じた。


「煙草……吸いてぇ……」
藤里に指名されて三日経った頃、間宮は煙草を吸う隙が無く苛々していた。
藤里は処理をする時以外にも常に傍に置き、肩を抱いたり尻を撫でたり、とにかく離れない。
もちろん仕事が終われば解放されるので自宅では吸えるが、一日に何本も吸っていた間宮からすれば仕事中一本も吸えないのは苦でしかなかった。
「…君も確か喫煙者だったかな?」
さらに藤里も喫煙者であることも、吸いたくなる要因のひとつだった。
藤里は煙草を楽しみながら、隣に四つん這いにさせた間宮のアナルを指でほじくる。
「は、…、そうです、っ」
「吸いたいかね?」
藤里の言葉に間宮は目を輝かせた。
しかし期待に胸を躍らせた間宮を、藤里はすぐにがっかりさせる。
煙草を充分吸った後の唇を、間宮に吸わせようとした。
「ん…、は…、」
死ねばいいのにクソオヤジ、と胸の中で暴言を吐きながらも、間宮は煙草の気配を感じる藤里の唇に吸いつき、口内に残る匂いを舐め取るように舌を入れた。
自分の体の上を跨ぎ必死に唇を貪る間宮の背中から腰のラインを、藤里はいやらしい手つきで撫でる。
「君の生意気なその顔、すごくそそるよ」
藤里は煙草を消すと、自分のベルトを外して大きくなったペニスを出した。
「自分で挿れなさい」
支配している気でいるのかもしれないが、自分で挿入し自分で腰を振ることなど間宮にとっては普通のことだった。
ぐちょぐちょに解されているアナルで藤里のペニスを受け入れる。
「は、あン……」
藤里は間宮の吐く息ひとつひとつに欲情した。
首や鎖骨にキスをされるのを間宮は鬱陶しく感じながら腰を動かす。

退屈。

間宮は天井を見つめながらそう思った。


「間宮さん…っ」
スーツに着替え、退社しようとロビーを歩いている間宮を必死な声が呼び止めた。
振り返ると、佐藤が追いかけてきていた。
「おー、佐藤、どうかしたか?」
佐藤は間宮の前まで来ると、膝に手を付き乱れた息を整えた。
「間宮さん、」
「なんだよ」
佐藤は息をまたひとつ吐いてから、顔を上げて間宮を見つめた。
「もう…、間宮さんには触れないんですか…?」
「え?」
「専務の処理、東雲さんが外されて、間宮さんが選ばれたって…、皆噂してるんです、実際俺も、一緒にいるところ見かけたし……、本当なんですか?」
佐藤が子犬のような泣きそうな顔をするので、間宮はぎょっとした。
「そりゃ本当だけどよ…、なにもそんな顔しなくたっていいだろ」
「ま、間宮さんは…、なんとも思ってないかもしれないですけど……」
佐藤は手を伸ばして間宮の袖口をきゅっと掴んだ。
「俺、間宮さんのことが好きだから……」
「え」
「寂しいです……」
目を伏せた佐藤はとうとう涙を一滴零した。
佐藤は今まで藤里の傍に置かれていた東雲のことを振り返ったのだ。
会社にいる間はずっと藤里につきっきり。
藤里が自分の部屋から連れ出す時以外は、食堂ですら姿を見ない。
処理どころか喋ることも見ることもほとんど許されない。未だに佐藤は東雲と話したことがなかった。
そんな東雲と同じような状況に間宮がなってしまったのかと思うと、想いを寄せる身としては絶望的だった。
「こんなことで泣くなよ…」
「泣いてま゙ぜん」
「鼻水まで垂らしてるくせに…」
間宮は空いている方の手で、鼻をすする佐藤の涙を拭った。
「ごめんなさい……」
佐藤は鼻先を赤くして、またすすると、間宮の袖口を掴んでいた手をそっと離した。
「佐藤、」
「おつかれさまでした……」
佐藤はくるりと背を向けると、また走って去って行った。
「…………」
間宮は佐藤の後ろ姿をじっと見つめた。


翌日ももちろん藤里の処理だった。
間宮は出勤してすぐ藤里の元へ向かう。
「おはよう、薫。今日も君は綺麗だね」
窓から差し込む朝日に間宮の金色の髪の毛が照らされ光と混じり合う。
藤里はその美しい姿に見とれた。
「朝の一服でもどうかね」
間宮はまたあの趣味の悪い喫煙もどきをさせる気の藤里を心の中で罵った。
表向きはそんな素振りも見せず、藤里が煙草を咥えると、間宮はライターでそっと火を着けた。
「ありがとう、」
礼を口にした藤里の煙草を、間宮は長い指で取り上げた。
藤里が不思議に思って間宮に目を向ける。
間宮は藤里の視線など気にせず、取り上げた煙草を吸った。
「あー……、やっぱ直に吸った方が百倍うめぇな」
「…薫、」
今まで自分の言う通りにしていた間宮の態度の変わりように、藤里は動揺した。
「やっぱいい子チャンなんてやってられねぇわ、可愛がられてるだけってのもつまらねぇし」
「…私といるのは嫌だと言いたいのかね」
「生意気な俺がそそるって言ったのはあんただろ、センム」
口の端を上げて笑う間宮は言葉通り生意気だった。
もちろんそこに魅力があるが、それを自分のものに出来たと思いこんでいた藤里は気に食わなかった。
「何が気に入らないんだね、煙草なら好きなだけ吸わせてあげよう」
間宮はたんまり吸った煙をふぅーっと一気に吐き出して笑った。
「んー、そうだな…、強いて言うならその引き止め方かなァ」
藤里はぴんと来ず眉をぴくりと動かした。
「鼻水垂らして泣いて引き止めてくれたら、俺好みなんだけど」
藤里は間宮の生意気な態度に嫌な顔をした。
間宮はそれを見て笑いながら、煙草を持ったまま藤里の首にすっと腕を回す。
そして自分を見つめる藤里の唇へ口付けた。
藤里の口の中に煙草の苦味が広がる。
「っ、…、」
そっと離れた間宮は1センチの距離で藤里を見つめながら意地悪く笑った。
「じゃ、これはこの煙草の分ってことで」
藤里が返事をする前に、間宮は藤里から奪った煙草をまた口に咥えてから、部屋を出て行った。
「…………………」
藤里は扉が閉まったのを見届けてから、静かに電話に手を伸ばした。
「…しの、今すぐ来てくれ。やはり私には、君しかいない」



藤里の後のことなど考えず逃げ出した間宮は、気分が良かった。
久しぶりのニコチンもそうだが、今は常に間宮の心を満たすものがある。
処理課には戻らずにそのままの足で営業部へ向かった。
部屋の中を覗くと、パソコンと睨めっこをしている佐藤がいる。
「おい佐藤」
間宮が荒っぽく呼ぶと、佐藤は肩を揺らしながら驚いた。
「ま、間宮さん、ど、どうかしたんですか…?」
「ちょっと来いよ」
間宮は同じ階にある仮眠室へ佐藤を呼び出した。

「せ、専務の担当になったんじゃ……?」
仮眠室へ来るなり服を脱ぐよう言われた佐藤は、ジャケットの袖から腕を抜きながら間宮に心配の目を向けた。
「逃げてきた」
間宮はベッドの上に腰掛けながら煙草を吹かす。
「え、え?逃げた…、?って、なんでですか…?」
ネクタイとベルトを外し、スラックスを脱いだ佐藤は手を止める。
「パンツも」
「あ、はい…」
処理課と同じようなワイシャツ姿に加えて靴下をはいたままになった佐藤はなんだか恥ずかしくなる。
「お前があんな顔するからだろ」
「え?」
自分の格好の恥ずかしさに俯いていた佐藤は間宮の方に顔を向けた。
いつになく真面目な顔をした間宮と目が合う。
「……間宮さ、」
「俺の処理の予定が当分なくなったんだ、責任取れよ」
間宮は口の端を上げて笑った。
戸惑う佐藤の腕を引っ張りベッドへ無理矢理上がらせる。
「せ、責任って…」
状況説明を詳しく求める佐藤を無視して仰向けに寝かせると、間宮はその体の上を跨った。
「せっかく解したここ、ちゃんと使えよってことだよ」
アナルに指を突っ込んでいやらしく笑う間宮を見上げて、佐藤は喉を鳴らした。

「ん、は……、っ、」
蕩けるようなキスをされて佐藤は頭がぼうっとした。間宮はキスをしながら器用に佐藤のワイシャツのボタンを外していき体を撫でていく。
長い指が佐藤の乳首を弄る。
ぴくっと反応した佐藤のペニスは、上で佐藤の体を気持ち良くさせようと奉仕している間宮のペニスに当たった。
「っ、っ、んぅ」
間宮よりもキスの合間に息を漏らしてしまう佐藤。
間宮はいやらしく腰をくねらせて佐藤のペニスと自分のペニスをくっつき合わせながら擦った。
間宮の今まで以上の尽くしように佐藤は頭がパニックになった。
そもそも自分が引き止めて戻ってきてくれたこと自体に胸がいっぱいなのだ。
それなのにこんなに間宮が快感のために体を張ってくれることを、佐藤は嬉しく思った。
佐藤はキスと兜合わせをされながら、間宮の尻に手を伸ばして、柔らかい弾力を確かめるように揉んだり撫でたりする。
「ん、ふぁ……」
間宮が口を離す。
「間宮さん…っ」
「佐藤、…ちんこカチカチだな…」
佐藤はそう言われて顔を赤くした。
「間宮さんがエッチだからですよ…っ」
間宮はふっ、と笑う。
その微笑みはどこかいたずらの中に優しさがあるような感じがして、佐藤はドキッとした。
「お前の困った顔、俺は好きだぜ」
「え」
さらに胸を高鳴らせた佐藤の気も知らずに、間宮は解し済みのアナルへ自ら佐藤のペニスを挿入した。
久しぶりの間宮のアナルの感覚に、佐藤は身を震わせる。
「あ、…は…っ」
間宮は息を吐きながら佐藤のペニスの全てを飲み込んでいく。
「ま、みや、さ…っ」
「あつ…」
間宮はそう呟きながら腰を上げた。
ヌリュッと抜けていく感覚に震えながらまた腰を下ろす。
ペニスが抜き差しされる刺激に間宮も佐藤もすぐに夢中になった。
間宮のいやらしい腰つきが、さらに佐藤の息を乱させる。
「あっ、あ、んっ、あ、あっ」
激しい抜き差しに佐藤も悶えるが間宮自身も声を漏らす。
束ねた髪から二、三本髪の毛が垂れて、佐藤はそこにも間宮の大人の魅力を感じ取った。
「あ、はぁ…っ、んっ、んぁっ」
「ま、間宮さ…、き、気持ちいい…っ」
「あ…、ん、ぁ、ぁん、っ、ああっ」
頬を染める間宮に、佐藤はドキドキした。
もっと間宮の淫らな姿を見たくて、目の前で揺れているペニスに触れる。
「うあっ、あっ!あっ」
間宮はびくっと跳ねる。
「あ、はぁ…、やめ、イッちまう…っ」
「イくとこ見せてください…っ」
「っ、モノ好き…、あっ、んっ、あんっ」
間宮の腰の動きに合わせて佐藤は間宮のペニスを擦った。
間宮の体中を快感が巡る。
まだ佐藤はイッてないが、処理相手がイく顔を見ることを望んでいるため、間宮は言う通り快感に身を委ねた。
「あっ、はぁっ、あっイく…、佐藤…っ、あっあんっあぁ…っ!」
間宮はびゅるびゅると精液を放った。
佐藤の腹の上にぽたぽたと落ちる。
「…可愛い、間宮さん…っ」
「はぁ、はぁ…、うっせ…」
少し目元を濡らしながら間宮は佐藤を見つめた。
いつも頼りない感じの佐藤が、男の目をしている。間宮は少しどきりとした。
「間宮さん…、起き上がってもいいですか?」
「ん……」
佐藤は身を起こした。
伸ばしていた脚を曲げて、対面座位になる。
「体、あったかい」
間宮の背中に腕を回し抱き締めながら佐藤はそう言った。
「……、」
間宮は佐藤の髪の毛を撫でた。
伏せ目になった佐藤の瞼にそっとキスをする。
「くすぐったいです」
今度は笑った佐藤の唇に触れる。
優しく触れるキスを何度か繰り返した後、舌を入れ絡み合わせていき、徐々に熱く激しいキスを交わした。
「は、あ…、ん、」
佐藤は下から間宮の中を突き上げた。
間宮の背中が汗ばんでいることに体が熱くなる。
「あ、あっ、あぁっ、んっ、」
「間宮さん…っ」
佐藤は息を荒くして中を突き上げた。
間宮の中はきゅうきゅう締め付ける。
「イきそ…っ、」
「ん、っ、あっ、あっ」
「間宮さん、っ、間宮さん…っ」
佐藤は間宮をぎゅっと強く抱き締めて、挿入したまま射精する。
どくどく注ぎ込まれる佐藤の精液の感覚を、間宮は目をぎゅっと瞑り感じていた。


「抜かずの三発って結構疲れますね……?」
散々間宮で処理をした佐藤はベッドに寝転び天井を見上げながら呟いた。
傍に座っている間宮の背中の向こう側から煙草の煙が漂う。
「若いくせに何言ってんだよ、まだいけるだろ」
「勘弁してください…」
「お前のために逃げてきたのに」
振り返って佐藤を見た間宮はにや、と口の端を上げていた。
佐藤は頬を染める。
「鼻水まで垂らして情けねぇ顔してたなーお前」
間宮に鼻を摘ままれて佐藤は恥ずかしそうにしながら間宮を見つめた。
「ま、でも正直助かったわ。一週間もセンムの相手するなんて気が狂っちまうからな」
そう言って煙草の煙を吐いた間宮を見て、佐藤はぱちぱちと瞬きをした。
「………………え?」
「あ?」
「イッ、シュウ、カン……?」
「おー」
「………、一週間……だったんですか……?」
間宮が普通に頷くので、佐藤は目を丸くしてからすぐに瞬きを繰り返した。
佐藤はてっきり、東雲の代わりに間宮が永久指名されたのだと思っていたのだ。
永遠に間宮に触れられないと落ち込んでいた佐藤はほっと胸をなで下ろした。
「良かった……」
安堵の表情を浮かべる佐藤を見ながら、間宮は煙をふーっと吐き出した。
「お前俺のこと好きだもんな」
「わーーー!」
間宮に対する想いを本人に口にされて、佐藤はバタバタと暴れた。
佐藤はもう会えなくなると思って告白をしたのだ。いつでも会えるのなら気持ちなど告げる気はなかった。
「忘れてください!!!」
真っ赤な顔をして慌てる佐藤を見て間宮は、声を出して笑った。

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