___ずっとずっと、あなたを見てた
___ずっとずっと、キミを見てた










___一年前から、兄さんの忘れ物を持って来たっていうのを口実に、跳沢先輩を
___総介の忘れ物を持って来ていた名前を





ずっと見ていた










___でも僕は男で…先輩も男で…
___でも俺は男で…名前も男で…








想いを伝えたら、嫌われてしまうかもしれない




自分が傷ついてしまうのがイヤな、傷つきたくない弱虫な自分がいるから





この想いは、誰にも明かすことなく、自分だけのモノにしておこう









___あの人との
___あの子との













“今”を壊したくないから………








跳沢side





それは、とある人の昼休みの出来事





「失礼します。兄さん、いますか?」



小さな体を更に小さくしながら、二年の教室へとやってきたあいつ




「あれ、名前じゃないか?」


貴志部が言う事に適当に返答し、考える





…確か、名前のクラスは次の時間は体育ではなかっただろうか




などと考えていると、名前の周りにはいつの間にやら人が集まっていた


……主に女子が




名前が可愛らしいのは分かる。だが、俺以外の人があいつに近づくのが気に入らなくて、俺は名前の方へ足を進めた







「名前」



「…!跳沢先輩!」




人をかき分けて名前の前へ出る


困った顔をしていた名前は俺の顔を見つけた途端、落ち着いたようにへにゃりと頬を緩めた



…うん、やっぱり可愛い




…じゃない
何でここに来たのか聞かないと



「で、どうしてここにいるんだ」

二年の教室に何か用か?と聞くと、名前は思い出したように「兄さんいませんか!?」と慌てだした



総介?…総介は確か…



「購買部まで…」

行ったはずだが…と言い終わる前に、名前はしゅんと泣きそうになってしまった





聞くところによると、総介に体操服を借りに来たそうだ






ああ、なるほど

だからここに…





俺は自分の鞄から体操服を取り出し、名前に押しつけるように渡した






「え、あの、先輩…?」



「俺ので良かったら、貸すから」




そろそろ行かないと遅れるしと言うと、名前は頬を赤めらせて嬉しそうに「ありがとうございます!」と言いながら走って行った







…最後のあれは、反則だと思うぞ、名前













その数分後、窓から見えた名前は体操服に着られてるみたいに見えて可愛かった


(…彼シャツ着てる彼女みたいだな)






主side





「あ…」




5時限目が体育のため、着替えようとしていたのだが…

鞄の中をどんなに探しても体操服が見当たらない





…しょうがない



「兄さんに借りるしかないか…」




そう思って二年の教室に来たのだが






「君可愛いねー。一年生でしょ?」


「あ、滝君の弟だよね!」


「結構似てるねー」


「思ったー!」





「あ、あの…その、」




何だかよく分からないけど、二年生の人たちが僕の周りに集まってきた
知らない人ばかりで、少し怖い




そんな時に跳沢先輩が僕の前に現れたんだ




そしたら、なんて言うのかな…



よく分からないし、なんて言えば良いのかいまいち分からないけど、とにかく嬉しかったんだ





その後兄さんがいるか跳沢先輩に聞いたけどいなかったみたい



どうしようって思ってたら、先輩が体操服を貸してくれたんだ



先輩の、大好きな先輩の体操服を借りられるなんて…!



先輩に遅れるって言われて時計を見ると、昼休みは残り少し



先輩には「ありがとうございます」って一言しか言えなくて申し訳なかったけど、とにかく嬉しさで一杯だった










着替えてみると、先輩の体操服はやはりと言うべきか、大きかった


汚さないようにするのが大変そうだなぁ



それに




先輩の匂いがして、胸の鼓動がうるさいです




(体育、せっかくサッカーだったのに…集中出来そうにないや…)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -