私の古い、古い記憶
そう、あれはまだ私が人間で丁と呼ばれていた頃だ
誰も私と遊んでくれなかった
誰も私に言葉をくれなかった
でも1人だけ…1人だけ、私と一緒にいてくれた人がいた
名前は名前。私よりも少しだけ年上の少女だった
知らないことをたくさん教えてくれた
一緒に森へ遊びに連れて行ってくれた
私にとっての、一番大事な人だった
でも、そんな幸せは続くことなく直ぐに終わった
彼女は死んだのだ。病気で
鬼となり果て、黄泉へと移った後。私は彼女を必死で探した
成長し、補佐官になっても、ずっとずっと
そんなある日
現世へ出張した時だ
人気の少ない公園で猫たちと戯れている少女を見かけた
年はまだ、十代後半と言ったところだろうか
…いや、年については今はどうだって良い
私が気になったのは、その少女が名前に瓜二つだったということだ
気になって、気になって
「猫、好きなんですね」
気付いたら、声をかけていた
「はい。動物は好きですよ」
彼女はキョトンとした後、そう言って膝に乗せていた猫の一匹を抱え、私に差し出してくる
「お兄さんも、触られますか?」
にっこりと笑って
笑顔が、本当にあの子に似ていると思った
…………いや、もしかしたら彼女は_____
「私、名前と言います。お兄さんの名前を伺ってもよろしいですか?」
ああ、名前まで同じだ
やはり、やはりこの少女がそうなのだ
「…加々知、です」
ああ、やっと見つけた。私の大事な人
いつか、いつか必ず迎えに行くから
そして今度こそ
絶対に離れるものか