※多分関ヶ原前





「三成様、月が、綺麗ですよ」




この言葉ほど、彼に合う言葉はないだろう

月は、三成様を表すものだから

この言葉は故郷で有名な愛の告白だ
まあ、明治に生まれたものだから彼が解るはずはないけれど

それでも、言葉を紡いでいく



「こんなにも月が綺麗だから、死んでしまってもいいわ」
(私は貴方を愛しています。だから、私は貴方の物よ)


死んでも良い。これも、有名な言葉

まさか私が、誰かにこんなにも夢中になれるだなんて思いもしなかった


不器用で厳しくて、融通が利かなくて、癇癪持ちで、無愛想で…


でも、誰よりも真っ直ぐな貴方が愛おしいの





三成様は黙ったまま


私の言葉など、彼にとってはただの戯れ事にしか聞こえないだろう



でも、それで良い。それで良いから




私の言葉を、気持ちを、声に出したくて。知ってもらいたくて




ねえ、三成様


絶対に死なないでくださいね。生きてください


私を、どんな風に使っても構わないから
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