「好きだ」

色素の薄い長い髪の毛も、柔らかい目元も、少し大きな口も。いつからか、すべてを、彼女のすべてを求めていた。

「はやく返事をしないか。…まあ、答えはきいてないがな」
「…へっ!?」
「顔を見れば、わかる」

彼女の頬にそっと手を添える。柔らかい頬の熱がどんどん上昇していくのが手を介して伝わる。

「きっ、気づいて」
「僕を誰だと思っている」

鼻と鼻がくっつきそうになるまで距離を縮める。茶色の瞳にぼくしか映ってないことに独占欲が満たされ、思わず口元が緩む。

「お互いの気もちの確認は済んだな。さあ次の段階へ進もうか」
「へ、え、あ」

もう片方の手を彼女の後頭部に素早く回す。邪魔な空気ごと彼女の唇を食べてやった。



(甘い海に溺れて僕は噎せ返る)






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