神は地上を作ったことを後悔した「私も通り名が欲しい」
「ヅラ、そこの爪切り取ってくれ」
「ヅラじゃない、桂だ」
「おいヅラ長髪うっとうしいから切るかもしくは死ね」
「ヅラじゃない、桂だ」
「ヅラァ、わしのエロ本どこか知らんか?」
「ヅラじゃない、桂だ。それからエロ本は人妻系以外禁止だと言ったはずだ」
見事にスルーされた。ここまでスルーされると、逆に清々しい。
私は腹筋を使ってさっきより声を大きめにした。
「私も、通り名が欲しい」
「ヅラ、そこのしんぶ「いい加減人の話し聞けやオッラァァァ!!」
目を三角に吊り上げ、は銀時に乙女の鉄槌を下した。
あのダラダラしたやり取りで、またうやむやにされるのかと思うとさすがに堪忍袋の尾がプチッと切れちゃいました。てへっ。
「何が乙女だよ何がてへっだよ。ぶん殴りてェ」
銀時はダラダラと惜しみなく流れる鼻血を片手で抑えながら、殺気を帯びた目で私を睨みつける。
「ぶん殴りたいのはこっちの方よ。なんで!」
私はビシッと人差し指を、銀時に突き付けた。
「なんであんただけ“白夜叉”なんてあだ名があるのよ!」
よ!よ!よ!――と、山彦のように、私の悲痛なる叫びが響いた。
はあ?と訝しがる銀時。ああその、通り名があることがさも当たり前かのような面!はっらたつー!!
悔しさのあまりキーッとハンカチを噛む。
「なんで私にはないの!?」
「「しらねーよ」」
銀時と晋介のツッコミが重なる。つれない。だからお前等モテないんだよ。…いや、晋介はモテてるか。お坊ちゃんだしモテるしなんなのコイツ。実は結構チビのくせに。
「というわけで私の通り名をみんなで考えよう!」
最後にキラッと某アニメのヒロインのポーズをきめてみた。
「ヅラ、そこの耳かき取ってくれ」
「ヅラ、お前本当はヅラなんじゃねえのか」
「ヅラ、わしの××××知らんかの?」
「ヅラじゃない、桂だ」
―――ぶちっ。
私の中の獣を繋げている理性が切れる音がした。
神は地上を
創ったことを
後悔した
翌日から私は、返り血を浴びて屍の上で不気味にけたましく笑う様から“なんか危ない赤い人”ってゆう通り名で呼ばれるようになりました!いぇい!!
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