野球部で誰がカッコいいと思う?って訊かれたから。私は答えただけなんです。原田くんかな、って。成宮くんはどう思う?って訊かれたんです。可愛いと思うけど生意気な言動が苦手って答えただけなんです。それだけじゃないですか。
「ねー、歩さーん。俺のこと苦手な歩さーん」
なんでこんなにしつこく付きまとわれなければならないんですか。
はあ、っと息を吐いてから、私は成宮くんの方にげんなりとした表情を見せつけるようにして向けた。
「あ、やっとこっち見た!」
「…あのね、ここ、三年生の教室でしょ。はやく帰りなさい」
「やだ」
「帰りなさい」
「嫌がる歩さんを見るの面白いから帰らない」
…本当に成宮くんって性格悪いな…。
へへっと可愛く笑う成宮くん。彼がこうして私に付きまとうようになったのは、私が友達と野球部の男子で誰がかっこいいか、という話を偶然聞いてしまってから。成宮くんは苦手と私が言ったのが、成宮君のプライドを大いに傷つけたらしい。
「俺今まで年上のお姉さんたちには可愛がられてきたのにさ〜、マジでショックだった」
「…あなたより年上の人が全員成宮くんのこと好きになるわけないでしょう」
「えー!?」
えー!?って…。なにこの俺は絶対年上に好かれるんだぜ的な自信…。やっぱりこういうところが苦手…。
はあ、とため息を吐いて。ウインナーを頬張る。お弁当の時間にまでやってくるなんて…。友達には成宮君に付きまとわれるなんて最高じゃん!と言われたけど、何が最高なものか。元々一人で過ごすのが好きなのに。
「あ、それ美味しそ〜。ちょーだい」
「駄目」
「えー!ケチ!」
「ケチで結構です。ほら、はやく帰りなさい」
少し語気を強めて言うと、成宮くんはぷくっと頬を膨らました。
「ケチ、ケチ、ケーチ!」
「はいはい、ケチですよ、私は」
こんな感じのダイヤ連載とかいつかできたらいいなあ…。鳴くんが年上のお姉さんに頑張ってアプローチしている様を書きたい。
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