「妙ちゃん、妙ちゃんは何歳まで結婚したい?」

妙ちゃんは「うーん…」と唸ったあと、ずずっとお茶を啜って、にっこりと綺麗な笑顔を私に向けた。

「名前さんの歳までには、結婚しておきたいです」

グサァァァァッ。

妙ちゃんの言葉が鋭く尖って、私の心臓を刺した。う…っ、辛い…、辛すぎる…!

「名前ー、いきおくれているのは今に始まったことじゃないアル。今更くよくよすんなヨ」

神楽ちゃんが私の肩にポン、と手を置いた。追い打ちかけるようなことを平気で言う。こんなに可愛い顔をしていて言うことは全く可愛くない。

「だって!周りの男にろくなのいないんだもん!!しょうがないじゃない!!」

私は頭を抱えながら、卓袱台に突っ伏した。

「まあ、それもそうですねえ」

「ちょっとさ…ガールズトークしようよ…」

「名前さんはガールというかレディ、」

「妙ちゃんお願い。お願いだから優しくして??」

かくしてこうして、ガールズトークが始まった。

「まず、坂田銀時さん。結婚相手にどう思いますか」

「万事屋なんて胡散臭い仕事している人、絶対に嫌です」

「明日が全く見えないアル」

「その明日が全く見えない人の下で働いているのは誰…。じゃあ、次、新八くん」

「…部屋が…、部屋がどんどんお通ちゃんまみ…れ…ウッ」

「妙ちゃんんん!!泣かないで!!!」

「ゲームの彼女に夢中になっていた時は、マジで無理だと思ったアル。あ、これ、銀ちゃんもか。…万事屋、辞めようかな…」

「標準語になっちゃっているよ神楽ちゃん!?じゃあ、次、近藤さん」

「ゴリラは速やかに死ぬか死ぬか死んでください」

「妙ちゃんの周りのオーラが一気に暗黒色に…!!」

「ゴリラの話は姉御の前では禁止アル」

「じゃあ次は…土方さん!」

「マヨネーズと煙草で家計が圧迫されそう」

「絶対アイツ中年ぶとりするヨ。お腹ぼったぼただヨ」

「あの人とごはん囲むのは、ちょっときつそうだよね…。うっ、犬のえさ思い出した…。いくらイケメンでもきついわ…。じゃあ次、沖田くん!」

「うーん、私、ああいう自分で自分のことSとか言っちゃう人、腹立つのよねえ」

「ゲームの女子に興奮してSMプレイしていたって聞いた時は、キモいを超えて心配したアル」

「…あの人のお姉さん、清楚系らしいじゃん…。ゲームの女の子も、清楚系だったんだよね…。うわあ…。ほんとシスコンって…」

「ちょっと!新ちゃんはあんな性格の悪いシスコンじゃありませんから!」

「新八くんもお姉さんタイプのキャラを彼女にしていたよ…同類だよ…」

「私らの周りって、ろくな男いないアルな、本気で」

「ま、まだ駄目だよ!諦めないで!!か、桂さん!」

「犯罪者が夫なんて、亡くなった父に顔向けできないわ」

「ロン毛うざいアル」

「私もロン毛はちょっとな〜。見ているだけで鬱陶しくなるんだよね。あとあの得体のしれない生物とも一緒に住むのかと思うと…。じゃあ、次は〜、坂本さん!」

「ああ、あのおりょうちゃんにしつこい人。おりょうちゃんができることなら、あの人のこと事故死に見せかけて殺したいって言っていました」

「おりょうちゃんんんんん!!予想より坂本さん嫌われているうううううううう!!」

「こどもにまでもじゃもじゃが移りそうだから嫌アル」

「それを言ったら坂田さんもだね…。私もサラサラストレートのが好きだしな〜。んじゃ、次、佐々木さん」

「収入は問題ないですね!」

「妙ちゃんものっそい良い笑顔しているね」

「構ってちゃんうざいアル」

「あー私もそれ思った。ああいう人ってさ〜失恋したらツイッターに失恋ソングの歌詞書くタイプだよね。じゃあ…服部さん!」

「痔の世話で生涯終わりそうだから、嫌アル」

そんなこんなで、私達のガールズトークは夜にまで及んだ。

「ねえ、妙ちゃん、神楽ちゃん」

「はい」

「うん」

私達は声をそろえて、叫んだ。

「「「ろくな男がいねえええええ!!!」」」

誰でもいいから、まともな男をください。




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