臆病者の恋愛歌 | ナノ



わたしは沖田さんが怖い。
何故怖いか?そう聞く人間がいるならわたしはこう返したてやりたい。
『あなたは彼が怖くないのデスカ?』と。
バズーカはぶっ放すわ女の子をドSコートするわよくわからない巨大カブトムシを飼い馴らすわエトセトラ。こんな人間を怖がらない方が無理じゃね?って話だ。逆に、何故みんなが彼を怖がらないのかが不思議だ。



「っ」

ばったり。そんな効果音がピッタリな合う感じに、わたしは沖田さんに出くわしてしまった。サァッと血の気が引いていく。多分わたしの顔は今真っ青だろう。英語で言うとペイルだ。どうでもいいですねハイ。
一方、沖田さんは無表情を浮かべてはいるものの、体から負のオーラを発している。明らかに、機嫌が悪い。
今のわたしの状態は蛇に睨まれた蛙。まさにこの言葉がピッタリと当て嵌まる。

沖田さんにであっても、いつもなら銀ちゃんの後ろに隠れてその場をなんとかやり過ごすのだけど、残念ながら今銀ちゃんはこの場にいない。

一応知り合いだし、挨拶はしとかなくちゃ、いけない、よ、ね。あああ怖いよマジ怖いよガンおもくそ飛ばしてきてるんだものこの人。もはやヤクザだよ絶対警察官向いてないよこの人。
わたしは、声を搾り出して蚊の鳴くような声で「こんにちは」と言い、素早く沖田さんの横を通り過ぎようとしたらガッと手首を強い力で捕まれた。

「いっ」

「前々から、あんたさ、」

痛さで顔をしかめ、声が漏れる。そんなわたしにお構いなしに沖田さんは喋り続ける。

「何で俺の事怖がってんでさァ」

ビコーズ、ユーアー街中でバズーカぶっ放す危険人物。
なんて言えるかァァァァ!!

「え、べ、別に怖がってなんかないですよ??」

「目んたま泳ぎまくってんだよクソアマ」

ぎゅうううっと手首を握る力が一気に強まった。

「いだいいだいいだいいだい!!沖田さんわたしの腕を雑巾か何かと勘違いしていませんか!?」

「おう、これ雑巾だったんか。じゃあ両手で縛らねェと」

「ぎいやァァァァァァァァ!!やめて下さいィィィィィ!!」

沖田さんの目が爛々と輝いている。さすが、サディスティック星の王子様と謳われるだけの事はある。
ってゆーかこの人結構全力だよね。女の子の腕を全力で絞り上げてるよね。

この人の辞書に“レディーファースト”って絶対載ってないねウン!!

これ以上はわたしの腕の何かが終わると思ったのだろう。沖田さんは、ふと力を弱め、じっとわたしの顔を見たかと思うと、ゆっくり口を開いた。

「なあ、「小春から離れろこの変態サディストがァァァァ!!」

爆裂音とともに沖田さんの後頭部に神楽ちゃんの激しい飛び膝蹴りが見事に入った。



そんなこんなで廻る日々

神楽ちゃんはナンパかこらああんナンパか?とヤクザ並に沖田さんにメンチを切っていると、沖田さんはむくりと起き上がり、死ね、と小さく呟いたかと思うとバズーカを神楽ちゃんに向かってぶっ放した。そしてそれを難無く避ける神楽ちゃん。うん、めっちゃくちゃ怖い!!!


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