2022/06/30(Thu)





 ブスがナンパされていた。

「いーじゃん、ちょっとくらいさぁ」
「嫌っつってんでしょ! 離せ!」

 ブスは目を吊り上げてキレていて、ブス加減に拍車をかけていた。つーかアイツ等もよくあんなブスに声かけんな。オレなら一億もらっても拒否る。

 ブス――篠田麻美はたまたま校区が同じでたまたま何度が同じクラスになった赤の他人だ。幼馴染ではない。幼馴染というのはガキの頃からつるんでいる間柄のことだオレとブスは一回もつるんでいない。つまりたまたま校区が同じでたまたま同じクラスになったことがある赤の他人それ以上でもそれ以下でもない。オレと奴はとにかく反りが合わない。オレはブスのワガママで傲慢でいちいちぎゃあぎゃあうるせぇところがとにかく嫌いでブスはオレの振る舞いすべてが気に入らないらしい。痰を吐き捨てるところとかマジで嫌!!!死ね!!! と言われた。オマエが死ね。
 
 ブスは男3人に囲まれていた。ブスの何がいいのか本当に理解できないが男たちはブスと遊びたいらしい。何度断られても食い下がっている。よくやる……踵を返し去ろうとした時だった。

『え゛……っ』

 ドン引きしている陽子が浮かんだ。

 ゲロ臭ぇ篠田が運び込まれるようにタクシーでD&Dにやってきた時のオレの対応を知った陽子は、顔を引き攣らせていた。

『麻美ちゃんそれ絶対やばい目遭ったじゃん……ちょっとそれは……青宗君もうちょい優しく……』

 何故ブスに優しくしないとならないのか。陽子の言っている意味がわからなくて首を傾げる。

『や、麻美ちゃんがちょっとアレなのはね、わかるよ。私もまぁぶっちゃけめんど……難しい子だなーって思ってるし。でもほら、女子だし』
『女だからなんだよ』
『えーと、ほら、力とか弱いし! 麻美ちゃん超細いじゃん! 女の子〜って感じの見た目だし! ペットボトルの蓋も開けるの苦労してたじゃん! 私ゴリラだから開けてあげたんだー!』
『あいつはザーボン変身後だろ』
『ザーボン変身後!? ブルマとかチチじゃなくて!? 麻美ちゃんだよ!?』
『? おう』

 心の底から篠田をザーボン変身後だと思っているので深くうなずく。ポカーンと口を開けている陽子に「つーか」と続けた。

『陽子はゴリラじゃねえ』

 陽子はゴリラじゃねえ。人間の女だ。篠田よりも断然女だ。腕を組んで堂々と言い放つと、陽子は呆けたように口を半開きにしてから、照れくさそうに笑った。篠田のことを考えている時にはぜっっっっったいに生まれない感情が胸の中を蜜のようにとろりと満たしていく。

『……や、まあ、麻美ちゃんが青宗君にとってザーボン変身後でも、女子だからさ。あの子ココ君のストー……一筋なのに他の男子とそういうコトすんの絶対ヤだと思うし、危ない目に遭ってたら助けてあげ……めっちゃ嫌そうな顔するね!?』

 陽子の頼みはなるべく聞きたいがブスをわざわざ助ける労力を考えると、助ける前から疲れた。だっりぃ……。

『言う事聞いてくれたらご褒美あげるから頑張れ!』

 陽子はげんなりしているオレに言う。ご褒美って。尋ねたら耳打ちで教えられた。やろう、と思った。

 とにかくだるくてめんどくて嫌で嫌で仕方ねえがこれもすべて陽子の為だ。そして褒美のためだ。

「おいオマエら」

 踵を返すのをやめ、ブスを取り囲んでいる男たちに声をかける。こいつらが陽子に声をかけていたら血の海に沈めているがブスなら冷静に対応でき「なにオマエこの子の男?」






「殺す! 殺す! ぜってぇ殺す!!! ふざけんなよ舐めんのもいい加減にしろよコラァ!!!」
「ゆ、ゆる、し、」
「許せるわけねーーだろ!! わ、わた、私が、乾の…………侮辱罪で訴えてやる!!!!! あっドラケン君聞いてよ聞いてよ聞いてよーーー!」
「オマエらある意味気ぃ合うよな」






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陽子より麻美のが顔面整っているし華奢ですがイヌピーは陽子のが可愛く見えてます。惚れた欲目とあと麻美のことが大嫌いなので。

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